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「新患を増やしたいのに、毎月の来院数がなかなか伸びない」「開業から数年が経つのに、いつも同じ顔ぶれの患者さんばかりで新しい方が来ない」「広告費をかけているのに新患数が変わらない」──このような悩みを抱えるクリニック院長は少なくありません。
新患が増えない問題は、既存患者の満足度や再来院率とは異なる独自の課題を抱えています。正しい原因を特定し、新患獲得に特化した施策を打つことが、安定した経営の第一歩です。
本記事では、クリニックの新患が増えない根本原因を明らかにしたうえで、今すぐ実践できる具体的な解決策を詳しく解説します。
クリニックの患者数は、新患数と既存患者の再来院率によって決まります。しかし、既存患者だけに頼っていると、転居・完治・他院への乗り換えなどの「自然減」が必ず発生します。仮に月間の自然減が5%であれば、1年間で約45%の患者が離脱する計算になります。
つまり、新患獲得なしには患者数を「維持」することすら難しい状態に陥ります。特に開業3〜5年目のクリニックでは、開業時の駆け込み患者が一巡し、新患数の伸び悩みが経営指標に如実に現れてくる時期です。この「安定期の落とし穴」に気づかないまま放置することが、経営悪化の一因になっています。
| 期間 | 自然減率5%/月の場合の既存患者残存率 | 新患獲得ゼロでの患者数推移 |
|---|---|---|
| 開業時 | 100% | 100人 |
| 6か月後 | 約74% | 約74人(▲26人) |
| 1年後 | 約54% | 約54人(▲46人) |
| 2年後 | 約29% | 約29人(▲71人) |
| 3年後 | 約16% | 約16人(▲84人) |
上記はあくまでも試算ですが、新患獲得なしに患者数が維持できないことは明確です。定期的な新患の流入がクリニック経営の「生命線」であることを、数値で認識することが重要です。
新患が来ないということは、地域の潜在患者が「別のクリニックを選んでいる」ことを意味します。これは、自院の認知度・信頼度・利便性のいずれかに問題があるシグナルです。競合クリニックの口コミ件数・評価・ホームページの充実度を自院と比較すると、「選ばれていない理由」が見えてくることがあります。
新患が来ない状態を「しかたない」と受け入れるのではなく、「選ばれていないのはなぜか」という問いを立てることが、改善への第一歩です。選ばれない理由は必ず特定できます。
新患が増えない状態が続くと、固定費(家賃・人件費・リース料など)は変わらないまま、収益だけが下がり続ける「コスト超過」状態に近づきます。この状態でも「なんとかなっている」と感じている院長も多いですが、手元資金の消耗は静かに進んでいます。
特に危険なのは、「新患が来ない」→「広告費を増やす」→「費用対効果が見えない」→「広告を止める」→「さらに新患が来ない」という悪循環に入るケースです。この循環を断ち切るためには、広告費の増減ではなく、「なぜ新患が来ないのか」という根本原因を特定することが必要です。
💡 重要ポイント
新患が増えない問題は、「認知」「信頼」「摩擦」「差別化」「ターゲット」の5つの原因に分類できます。次のセクションで、自院がどの段階に問題を抱えているかを診断してみましょう。
新患獲得に悩むクリニックの多くは、以下の5つのいずれか、または複数の問題を抱えています。「施策が効かない」と感じている場合は、根本原因の特定ができていないことがほとんどです。
地域の潜在患者が自院の存在を知らない状態です。Googleマップへの未登録・低評価・写真不足、ホームページの検索順位が低い、SNSでの発信がないなどが典型的な状態です。
「地域名+診療科」で検索したときに、Googleマップのローカルパック(上位3件)や検索結果1ページ目に自院が表示されていない場合、認知不足が最大の原因である可能性が高いです。この場合は、MEO対策・SEO対策・SNS情報発信の強化が最優先事項になります。
存在は認知されているが、初診の予約に至らないというケースです。Google口コミの件数が少ない・平均評価が3.5未満・悪い口コミへの返信がない、ホームページに院長の写真やプロフィールがない・情報が薄い、といった状態が「信頼不足」のサインです。
患者は初めてのクリニックを選ぶ際、「本当に安心して任せられるか」を非常に慎重に判断します。口コミ・院長の人柄・実績・スタッフ紹介など、「この人に診てもらいたい」と感じてもらえるコンテンツを充実させることが信頼獲得の鍵です。
「行きたい」と思っても、予約や来院のプロセスにハードルがあって実際の初診につながらないケースです。電話のみの予約受付(営業時間内しか対応不可)・ホームページからの予約ができない・アクセス情報が不明確・駐車場情報が掲載されていないなどが代表的な例です。
現代の患者は「今すぐネットで予約できる」ことを当然と考えています。「電話しなければいけない」「営業時間外に調べたが予約できなかった」という体験が、離脱の原因になっています。Web予約・LINE予約の導入は、新患獲得における最も即効性の高い改善策のひとつです。
「近くに複数のクリニックがある」「自院と競合の違いがわからない」という状況は、患者が「どこでもよい」と感じさせ、認知度や口コミ数・立地などで優位な競合に流れることにつながります。
差別化不足を解消するには、「うちのクリニックはここが違う」という点を言語化し、ホームページやSNS・Google口コミの返信などで継続的に伝えることが必要です。「院長の専門資格・出身医局」「特定疾患への対応力」「予防医療へのこだわり」「院内設備」など、患者が価値を感じる差別化ポイントは必ず存在します。
集患施策を実施していても、ターゲットとする患者層に情報が届いていないケースです。たとえば、40〜60代の女性をターゲットにしたい婦人科がTikTokのみで発信していたり、ファミリー層を集めたい小児科がSEO対策のみに注力していたりすると、施策と患者層がミスマッチになります。
「誰に・何を・どのチャネルで」伝えるかを明確にしないまま施策を続けると、費用と時間だけが消費されます。まずペルソナ(理想の患者像)を定め、そのペルソナが情報を探す場所・方法に合った施策を選ぶことが、集患効率を大幅に高めます。
| 原因の種類 | 主なチェックサイン | 優先すべき対策 |
|---|---|---|
| ①認知不足 | Googleマップ上位3位に表示なし、HP検索順位低い | MEO対策・SEO・SNS発信 |
| ②信頼不足 | 口コミ20件未満・評価3.5未満、HP情報が薄い | 口コミ獲得・HP充実・院長プロフ強化 |
| ③摩擦過多 | 電話予約のみ、アクセス情報不明 | Web予約・LINE予約導入、HP改善 |
| ④差別化不足 | 競合多数・自院の強みを言語化できていない | USP策定・ブランディング・コンテンツ強化 |
| ⑤ターゲットのズレ | 施策はしているが成果が出ない | ペルソナ再設定・チャネル最適化 |
クリニックに患者が来ない原因の診断と具体的な対策については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
クリニックに患者が来ない本当の理由とは|原因を正しく診断して今すぐ取り組む集患・増患の処方箋
新患が来ない問題を解決するには、「患者がどうやってクリニックを探し、選び、初診に至るか」というプロセスを理解することが不可欠です。このプロセスを「新患獲得ファネル」と呼び、4つのステップで整理できます。各ステップに障壁がないかを点検することが、施策設計の出発点になります。
患者が自院を知るきっかけのほとんどは、インターネット検索です。「地域名+診療科」「症状+クリニック」「駅名+○○科」などのキーワードで検索し、Googleマップのローカルパックや検索結果から候補を見つけます。一部はSNS(Instagram・X)や友人・家族の口コミを通じて認知するケースもあります。
認知段階では、「Googleマップに正確な情報が登録されているか」「ホームページが検索エンジンに評価されているか」「SNSで定期的に情報発信しているか」の3点が重要です。このステップで自院が候補に上がらなければ、以降のどんな施策も意味を持ちません。
認知した後、患者は必ず複数のクリニックを比較します。比較に使う主な情報は、①Googleマップの口コミ(件数・評価・内容・返信)、②ホームページの内容(院長プロフィール・診療方針・診療メニュー・料金・スタッフ紹介)、③SNSのコンテンツ(院内の雰囲気・院長の人柄)の3つです。
この段階で「口コミが少ない・評価が低い」「HPの情報が薄い・古い」「SNSの投稿が止まっている」というクリニックは、比較の段階で脱落します。特に、初診患者は不安感が強いため、「ここは信頼できそう」という印象を与えられるかどうかが、来院決定の鍵を握ります。
比較を経て「ここにしよう」と決断するきっかけ(トリガー)は何でしょうか。患者へのアンケートや口コミ分析からわかるのは、「院長の専門性・実績が明確だった」「口コミの内容が具体的で親切そうだった」「ホームページから院内の雰囲気が伝わった」「予約が簡単にできた」などが主なトリガーとして機能していることです。
逆に、「HPを見たが情報が少なくて不安だった」「口コミが少なくて判断できなかった」「予約がしにくかった」は、決断を妨げる要因です。トリガーを増やし、阻害要因を取り除くことで、「比較中の患者」を「来院する患者」に変える確率が高まります。
決断しても、予約・来院のプロセスで離脱が起きることがあります。「Web予約ができず電話でしか予約できない」「予約フォームが使いにくい」「駐車場情報がわからない」「初診の持ち物・料金がわからない」などの摩擦が、最後の一押しを妨げます。
Web予約・LINE予約の導入、初診案内ページの整備(持ち物・料金・駐車場情報など)、アクセスマップのわかりやすい掲載は、このステップの離脱を防ぐための基本施策です。新患に対して「来院しやすい環境」を整えることが、最後のステップを乗り越えさせる力になります。
💡 重要ポイント
新患が増えない原因は「認知・比較・決断・来院」のどのステップにあるかを特定することが最重要です。「認知はされているが選ばれない(比較での脱落)」なのか、「選んでもらったが来院しない(摩擦による離脱)」なのかで、打つべき施策がまったく異なります。
ファネルの各ステップを改善するための具体的な施策を8つ解説します。自院のボトルネックに合った施策から優先的に取り組んでください。
「地域名+診療科」での検索時に、Googleマップの上位3件(ローカルパック)に表示されることは、新患認知の最大の経路です。MEO対策の基本は、Googleビジネスプロフィールへの正確な情報登録・写真の充実・投稿機能の活用・口コミへの丁寧な返信です。
特に重要なのは、口コミの件数と評価の向上です。Googleのアルゴリズムは、口コミ件数が多く・評価が高く・返信が丁寧なクリニックを上位表示しやすい傾向があります。月1〜2回の投稿更新と、口コミ獲得の仕組みを院内に整えることで、徐々に表示順位が改善されます。
ホームページは、新患が「来院するかどうか」を最終判断する場所です。新患獲得に強いホームページには共通する要素があります。院長のプロフィール・診療方針・顔写真が充実している・診療メニューと料金(特に自由診療)が明確・初診の流れが説明されている・スマートフォン対応・表示速度が速い・Web予約ボタンが目立つ位置にある、の6点です。
「開業時に作ってから更新していない」という状態のホームページは、患者に「このクリニックは情報が古い=管理されていない」という印象を与えます。年に1〜2回のコンテンツ更新と定期的なブログ投稿が、信頼感とSEO評価の両方を高めます。
患者が初診クリニックを選ぶ際、Google口コミの確認は欠かせないステップになっています。口コミの平均評価が3.5未満、または件数が20件未満のクリニックは、比較の段階で選ばれにくい傾向があります。
口コミを増やすための具体的な方法は、会計時にQRコードを渡してお願いする・診察後にLINEでリンクを送る・院内に「口コミをお願いします」という掲示を設けるなどがあります。一方、ネガティブな口コミには誠実な返信を行い、「改善の意思がある院長・クリニック」という印象を与えることが、新患の信頼を得る鍵です。
患者が「症状名」「治療法名」を検索した際に自院の記事が上位表示されると、来院意欲の高い患者を直接獲得できます。例えば、内科であれば「慢性疲労 原因 内科」「血糖値 下げる 食事 クリニック」などのキーワードで記事を書き、地域の患者に読んでもらうことが新患獲得につながります。
SEO記事は効果が出るまでに3〜6か月かかりますが、一度上位表示されると広告費ゼロで継続的に新患を獲得できる「資産型コンテンツ」として機能します。月2〜4本のペースで専門性の高い記事を継続的に発信することが理想ですが、記事の質と検索意図との一致が最も重要です。
新患が初診に踏み切れない最大の理由のひとつは「不安感」です。「どんな先生なのか」「院内の雰囲気はどうか」「スタッフは親切か」という疑問を解消できるコンテンツが、決断のトリガーになります。SNSは、このような「人柄・雰囲気の可視化」に最も適したチャネルです。
Instagram・Xでは、院長の日常的な投稿・診療へのこだわり・スタッフの紹介・季節の健康情報などを発信することで、来院前に「なんとなく知っている先生」になることができます。ただし、医療広告ガイドラインに準拠した発信が必要です。患者の症例写真や体験談は規制の対象になるため、発信前に確認が必要です。
⚠️ 注意事項
医療機関のSNSには「医療広告ガイドライン」が適用されます。症例写真・体験談・「〇〇が治った」などの効果を示す表現は規制対象となる場合があります。発信内容は事前に専門家への確認を強くお勧めします。
「電話でしか予約できない」クリニックは、スマートフォン世代の患者に大きな摩擦を与えています。夜間・休日に調べて「予約したい」と思っても電話できず、翌日には別のクリニックを予約してしまうという離脱が起きています。
Web予約システムやLINE公式アカウント経由の予約機能を導入することで、24時間いつでも予約できる環境を整えることができます。特に初診患者への対応として、「初診もオンラインで予約可能」「予約確認・変更もLINEで簡単」という利便性は、新患獲得の強力な武器になります。
病院・クリニック検索ポータルサイト(病院なび・ヘルモア・エムスリー・医療施設DBなど)に自院を登録・充実させることで、Google検索以外からの新患流入経路を確保できます。ポータルサイトはGoogleの検索結果にも表示されるため、SEO上の間接的な効果も期待できます。
ポータルサイトへの登録は無料のものが多く、写真や診療情報を充実させるだけで新患接点を増やせる低コストな施策です。ただし、掲載内容が古い・写真がない状態では逆効果になることもあるため、登録後の情報管理と定期的な更新が必要です。
MEO・SEO・SNSは効果が出るまでに時間がかかりますが、「今すぐ新患を獲得したい」という場合はWeb広告(Google広告・Meta広告)が即効性のある手段です。Google広告では「○○市 内科 初診」「地域名 皮膚科 予約」などの検索キーワードで広告を表示でき、来院意欲の高い患者に直接アプローチできます。
Meta広告(Instagram/Facebook)では、地域・年齢・性別・興味関心によるターゲティングが可能で、特に美容医療・予防医療など自由診療の新患獲得に向いています。ただし、医療広告ガイドラインに準拠した広告表現が求められるため、専門業者へのサポート依頼を検討してください。
| 施策 | ファネル段階 | 即効性 | 費用感 | 優先度 |
|---|---|---|---|---|
| ①MEO対策 | 認知・比較 | 中 | 低 | ★★★ |
| ②HP最適化 | 比較・決断 | 中 | 中 | ★★★ |
| ③Google口コミ獲得 | 比較・決断 | 中 | 低 | ★★★ |
| ④SEO記事 | 認知・比較 | 低〜中 | 中 | ★★☆ |
| ⑤SNS運用 | 比較・決断 | 中 | 低 | ★★☆ |
| ⑥Web/LINE予約導入 | 来院(摩擦除去) | 高 | 中 | ★★★ |
| ⑦ポータルサイト活用 | 認知 | 中 | 低 | ★★☆ |
| ⑧Web広告 | 認知・来院 | 高 | 高 | ★☆☆(要検討) |
クリニックのWebマーケティング施策の全体像については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
クリニックのWebマーケティング完全ガイド|保険診療・自由診療別の集患戦略と実践手法
新患獲得の戦略は、診療科によって患者層・検索行動・意思決定プロセスが異なるため、アプローチを変える必要があります。以下に主な診療科別の重点ポイントを解説します。
内科・小児科は「近所で信頼できるかかりつけ医」を探している患者が中心です。「地域名+内科/小児科」の検索が最も多く、GoogleマップのMEO対策が新患獲得の主要経路になります。口コミの件数・評価・返信の質が、選ばれるかどうかを左右します。
ホームページには、院長のプロフィール・診療方針・対応できる疾患・予防接種・健康診断メニューなどを充実させることが重要です。また、地域の学校や保育園との連携、インフルエンザ・コロナなどの季節性疾患への対応をSNS・HP・Googleビジネスプロフィールで発信することで、地域住民からの認知と信頼を高められます。
皮膚科・美容皮膚科の患者は視覚的な情報に敏感で、来院前にInstagramで自院を確認するケースが非常に多いです。ニキビ・シミ・脱毛・美容施術など、「ビフォーアフター」や「施術の様子」が伝わるコンテンツは、比較・決断ステップでの強力な訴求になります。
ただし、医療広告ガイドラインにより、ビフォーアフター写真の掲載には「限定解除」手続きが必要です。通常のSNSや広告への掲載はガイドライン違反になる可能性があるため、専門家に確認のうえ実施することが必須です。ガイドラインに準拠した発信であれば、Instagram運用は皮膚科・美容系クリニックの最も強力な新患獲得チャネルになります。
整形外科・リハビリ科の患者は「腰痛 クリニック○○市」「膝の痛み 治療 整形外科」など、症状をもとに検索します。SEO記事を通じて「腰痛の原因と対処法」「膝痛に効くリハビリ」などの情報を発信することが、来院意欲の高い患者の流入につながります。
また、YouTube・Instagramでリハビリや体操の動画コンテンツを発信することで、「専門家として信頼できる」という印象を与えることができます。動画コンテンツは視聴者との関係構築に優れており、「ここの先生なら信頼できそう」という決断トリガーを生み出しやすいコンテンツ形式です。
美容クリニックや予防医療・アンチエイジング系クリニックでは、単純な保険診療とは異なる集患戦略が必要です。患者は「価格」「効果」「信頼できる医師」の3点を特に重視して比較するため、LP(ランディングページ)でこれらを明確に訴求し、Google広告・Meta広告でターゲットに届け、LINE公式アカウントで来院前のコミュニケーションと予約を行う「三位一体戦略」が効果的です。
また、自由診療は医療広告ガイドラインの適用を受けるため、効果の保証・比較広告・患者体験談の掲載などには制限があります。広告費をかける前に、広告表現がガイドラインに準拠しているかを専門家に確認することが、リスク管理の観点から重要です。
多くのクリニック院長は「新患をどう増やすか」を考えますが、「新患1人を獲得するためにいくらかかっているか」を把握しているケースは非常に少ないです。このセクションでは、「新患CPA(獲得単価)」の概念と、コストを下げるための考え方を解説します。
CPA(Cost Per Acquisition)とは、1人の新患を獲得するためにかかった費用のことです。たとえば、月に広告費・SEO費・SNS運用費あわせて10万円を投資して新患が20人来た場合、CPAは5,000円になります。
CPAを知ることで、「どの施策が費用対効果で優れているか」が定量的に判断できます。Google広告のCPAが8,000円、MEO対策のCPAが2,000円であれば、MEO対策への投資を優先すべき判断ができます。CPAを把握していないまま施策を続けることは、集患コストが必要以上に高くなる原因になります。
| 施策 | 月間費用の目安 | 想定新患数/月 | CPA(概算) | 評価 |
|---|---|---|---|---|
| MEO対策(管理費込み) | 3万〜5万円 | 10〜30人 | 1,000〜5,000円 | ◎ |
| SEO記事制作 | 5万〜15万円 | 5〜20人(3〜6か月後) | 2,500〜30,000円 | ○ |
| Google広告 | 10万〜30万円 | 10〜30人 | 3,300〜30,000円 | △(設計次第) |
| SNS運用 | 3万〜10万円 | 3〜15人 | 2,000〜33,000円 | △(診療科次第) |
| 口コミ獲得施策 | 1万円以下 | 5〜20人(自然集患) | 500〜2,000円 | ◎ |
新患獲得施策を評価する際は、単に「新患が増えたか」だけでなく、「1人あたりいくらで獲得できたか(CPA)」を把握することが重要です。CPAが高い施策に予算を集中させていると、集患コストが収益を圧迫します。
各施策のCPAを計測するためには、「どの経路で来院したか(Web検索・Googleマップ・紹介・広告など)」を初診時に必ず確認し、来院経路別の新患数を記録することが前提になります。来院経路の把握が習慣化されると、どの施策が機能しているかが数値で見えるようになります。
既存患者の紹介(口コミ紹介)は、CPAがほぼゼロに近い最も費用対効果の高い新患獲得チャネルです。紹介患者は信頼感を持って来院するため、初診での満足度も高く、そのまま継続患者になりやすいという特徴もあります。
紹介を増やすためには、既存患者の体験を最高の状態に保ち、「このクリニックを知人に紹介したい」と思ってもらえる院内体験を提供することが前提です。なお、金銭や特典と引き換えの紹介依頼は医療広告ガイドラインの観点から注意が必要ですが、「紹介カード」の配布などはルールに沿って実施できます。
💡 重要ポイント
施策の優先順位を決める際は「CPAが低く・即効性がある施策」から着手することが原則です。MEO対策(口コミ含む)・Web予約導入・既存患者からの紹介促進は、CPAが低く効果が出やすい施策として、ほぼすべてのクリニックで最優先に位置づけるべき取り組みです。
新患獲得コストを抑えながら集患の仕組みを構築するマーケティング戦略については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
クリニックのマーケティング完全ガイド|自由診療・保険診療別の集患戦略と施策を徹底解説
開業医である院長は、診療・スタッフ管理・経営判断など、日々多岐にわたる業務を担っています。その中でMEO対策・SEO記事作成・SNS運用・広告管理・口コミ対応をすべて院長一人で行うことは現実的に不可能です。
「やったほうがいいとわかっているけど、時間がない」という状態が続くと、施策の手を止めた瞬間に新患数が落ち込むという不安定な経営になりがちです。集患を「属人的な取り組み」ではなく、「自動的に新患が流入してくる仕組み」として設計することが、安定した経営の基盤になります。
クリニック専門のマーケティング支援会社に集患を依頼すると、以下のような変化が期待できます。まず、MEO・SEO・Web広告・SNS運用・HP制作などの複数施策を一貫した戦略のもとで実行できます。次に、月次レポートとデータ分析により、どの施策が新患獲得に貢献しているかが可視化されます。そして、医療広告ガイドラインへの準拠を確認しながら集患施策を進められるため、法的リスクを抑えられます。
院長が本来の強みである「医療の質」に集中しながら、集患は専門家に任せるという分業体制を作ることが、クリニックの成長を加速させます。
マーケティング支援会社を選ぶ際は、以下の3点を特に重視してください。
| チェックポイント | 確認すべき内容 |
|---|---|
| ①医療・クリニック業界への専門性 | クリニック・医療機関の支援実績が多いか、医療広告ガイドラインを熟知しているか |
| ②施策の包括性と戦略的一貫性 | MEO・SEO・広告・SNS・HP制作を統合的に支援できるか、提案が自院に最適化されているか |
| ③数値管理とコミュニケーション体制 | 月次レポートで成果を可視化できるか、定期的な改善提案があるか、担当者と継続的に相談できるか |
支援会社に相談する前に「自院の現状課題・目標新患数・これまでの施策と結果」を整理しておくと、より具体的な提案を引き出せます。複数社に相談して比較することも、適切な支援会社を見つけるうえで有効です。
集患の仕組み化を含むクリニック経営の成功戦略については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
クリニック経営を成功に導く完全ガイド|よくある課題・失敗原因と黒字化を実現する実践ポイントを徹底解説
クリニックの新患が増えない問題は、「認知不足・信頼不足・摩擦過多・差別化不足・ターゲットのズレ」という5つの根本原因のいずれかに起因しています。まず自院のボトルネックを特定し、「新患獲得ファネル」の各ステップに対応した施策を優先順位をつけて実施することが、最短距離での新患増加につながります。
特に、MEO対策(Googleビジネスプロフィールの最適化)・口コミ獲得の仕組みづくり・Web予約の整備は、低コスト・高効果で始めやすい最優先施策です。診療科の特性に合ったSNS発信・SEO記事・Web広告も組み合わせることで、複数の経路から新患を継続的に獲得する仕組みが整います。
そして、新患獲得コスト(CPA)を意識した施策設計と、専門家との連携による「集患の仕組み化」が、持続的な経営安定の基盤を作ります。新患が増えない現状を一人で抱え込まず、早期に原因を特定し、必要であれば専門家の力を借りながら今日から動き始めることが、最善の選択です。
弁護士。京都大学経済学部卒業、京都大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。独立行政法人中小企業基盤整備機構では国際化支援アドバイザーとして活動。
㈱Camphor Tree において、医療分野・税理士など専門サービス業における、マーケティング・ブランディング・HP/LP 制作・SEO・コンテンツ設計など、集客から売上につながる戦略設計・実行支援を行う。