MENU

<クリニック向け>医療広告ガイドラインにおける「限定解除」の適用要件|診療種別・ページ種別ごとの実務設計ガイド

<クリニック向け>医療広告ガイドラインにおける「限定解除」の適用要件

>>クリニック向け ホームページ・LP制作について詳しく見る

「ホームページに自由診療の施術内容を詳しく書きたいが、どこまで書けばよいかわからない」「症例写真を掲載するためにリスクと費用を書いたが、それだけで十分なのか不安」「保険診療しかやっていないが、そもそも限定解除が必要なのか」——クリニックのウェブサイトを運営する院長・スタッフから、医療広告ガイドラインの「限定解除」に関するこうした実務的な疑問が多く寄せられます。

医療広告ガイドラインの「限定解除」とは、告示の広告可能事項以外の情報(自由診療の施術詳細・症例写真・症例件数等)を、一定条件を満たすウェブサイトに掲載できる仕組みです。しかし「4条件を満たせばよい」という表面的な理解だけでは、実際のHP設計・コンテンツ制作の判断には不十分です。どのページに何をどのように書けば条件を満たすのか、診療科・ページ種別ごとの実装レベルの理解が必要です。

本記事では、一般クリニック(内科・皮膚科・歯科・整形外科・泌尿器科等)を対象に、限定解除を実際のHP設計・運用に落とし込む方法を体系的に解説します。費用・リスク記載の診療科別OK/NG例、診療種別ごとのチェックシート、SNS・広告LPへの適用ルールまで、実務に直結する内容をまとめます。

目次

1. なぜ「限定解除」がクリニックのHP設計の核心になるのか

ポジティブリスト方式の制約とHP設計への影響

医療広告ガイドラインはポジティブリスト方式を採用しており、医療法および厚生労働省告示第108号(広告できる事項告示)に明示された事項のみが広告として掲載できます。この告示の範囲に含まれる主な情報は、クリニックの基本情報(名称・所在地・電話番号・診療時間等)、医療法上の診療科名、医師・スタッフの略歴・告示認定専門医資格、保険診療で実施可能な治療方法等です。

しかし、クリニックのウェブサイトで患者が最も求める情報——自由診療の施術メニューの詳細・費用・症例写真・症例件数・専門外来の説明——の多くは告示の範囲外です。つまり、限定解除の条件を満たさなければ、これらの情報を一切掲載できないことになります。

限定解除を満たさないと何が「掲載できないか」——一般クリニックが直面するリアル

掲載したい情報告示内か限定解除なしに掲載可能か限定解除後に掲載可能か
クリニック名・住所・電話番号・診療時間○ 告示内○ 可○ 可
医師の氏名・学歴・職歴・告示認定専門医資格○ 告示内○ 可○ 可
保険診療の検査・治療方法の説明○ 告示内○ 可○ 可
自由診療の施術メニュー名・詳細説明✕ 告示外✕ 不可○ 可(費用・リスク明示の上)
自由診療の費用一覧✕ 告示外✕ 不可○ 可(幅・付随費用の明示必要)
症例写真・ビフォーアフター写真✕ 告示外✕ 不可○ 可(費用・リスク同一ページ掲載で)
症例件数・手術実績数✕ 告示外✕ 不可○ 可(最上級表現はNG)
専門外来の詳細説明(例:糖尿病外来の詳細)△ 一部のみ告示内△ 名称のみ○ 詳細まで掲載可
体験談・患者の感想・口コミ転載✕ 告示外(禁止表現)✕ 不可✕ 限定解除後も不可

限定解除は「何でも掲載できる」ではない——禁止事項は変わらないという前提

限定解除を適用する前に必ず理解しておくべき大前提があります。限定解除によって解除されるのは「告示の広告可能事項の限定」であり、「禁止広告の解禁」ではありません。医療法・医療法施行規則が定める禁止表現(虚偽広告・誇大広告・比較広告・体験談・条件外のビフォーアフター写真・品位を損ねる広告)は、限定解除を満たした後でも引き続き一切使用できません。

また、限定解除はあくまでも「各ページ・媒体ごとに条件を満たしているかどうか」で判断するものです。「クリニックとして限定解除の手続きを済ませた」という考え方は誤りであり、各ページ・媒体ごとに条件を満たしているかどうかで適用の有無が決まります。


▶ 参照:厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」

>>クリニック向け ホームページ・LP制作について詳しく見る

2. 限定解除4条件と「診療種別ごとの必要条件」の整理

医療法施行規則第1条の9の2——4条件の原文と解釈

限定解除の根拠は医療法施行規則第1条の9の2に定められています。同条は4つの要件を列挙し、
要件①:患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトであること
要件②:問い合わせ先を明示すること
要件③:自由診療に係る治療等の内容・費用等の情報を提供すること
要件④:自由診療に係る主なリスク・副作用等の情報を提供すること
を定めています。

重要なのは同条の但し書きです。「ただし、第三号及び第四号に掲げる要件については、自由診療…について情報を提供する場合に限る」と明記されています。これにより、自由診療の情報を掲載しない場合は要件③④が適用されず、要件①②のみで限定解除が成立します。

保険診療のみ・自由診療あり・混合診療——必要条件数の違い

診療種別必要条件HP設計上の難易度代表的な診療科
保険診療のみ(自由診療情報を一切掲載しない)①患者が自ら求めたウェブサイト ②連絡先の明示低(2条件のみ)一般内科・小児科・耳鼻科・眼科(自由診療メニューなし)
自由診療のみ①②③④の全4条件(全ページ)高(全ページ費用・リスク必須)美容外科・美容皮膚科等
保険診療+自由診療(混合診療)自由診療ページ:①〜④の4条件 保険診療ページ:①②の2条件中(ページ別に条件が異なる)皮膚科・歯科・整形外科・泌尿器科・婦人科等

💡 重要ポイント
「保険診療のみのクリニックは限定解除不要」という誤解があります。保険診療のみのクリニックでも限定解除を活用することで、専門外来の詳細説明・治療方法の詳細解説・医師経歴の充実した記載等を掲載できます。条件①②は通常の公式ウェブサイトであればほぼ自動的に満たされるため、多くの保険診療クリニックは知らない間に限定解除の条件を満たしています。

「混合診療クリニック」における条件適用のページ別管理の考え方

皮膚科・歯科・整形外科等の混合診療クリニックで特に重要なのは「ページごとに適用される条件を管理する」という考え方です。保険診療のページには費用・リスクの記載は条件上不要ですが、自由診療のページには費用・リスクの記載が必須です。同一ウェブサイト内でも、ページの性質によって適用される条件が異なります。

ページカテゴリページ例適用条件費用記載リスク記載
基本情報ページトップページ・アクセス・医院概要①②不要不要
保険診療説明ページ内科疾患の説明・リハビリの説明①②不要不要
自由診療施術ページレーザー治療・インプラント・AGA外来①②③④必須(幅あり)必須(具体的)
料金一覧ページ(自由診療含む)施術費用一覧・料金表①②③④必須(幅あり)施術ページへの誘導も可
医師紹介ページ院長・スタッフ紹介①②不要不要
よくある質問ページ(自由診療の内容あり)自由診療に関するQ&A①②③④必須必須

>>クリニック向け ホームページ・LP制作について詳しく見る

3. 診療種別別・ホームページ設計の基本方針

保険診療中心クリニック(内科・小児科・耳鼻科等)のHP設計の自由度

保険診療を中心とし自由診療メニューを提供していないクリニックは、条件①②のみで限定解除が適用されます。条件①(患者が自ら求めたウェブサイト)は、自然検索・URL直接入力でアクセスするクリニック公式サイトであれば原則として満たします。条件②(連絡先の明示)は、ページ上のわかりやすい位置に電話番号・メール・問い合わせフォームのいずれかを記載することで満たします。この2条件は通常の公式ウェブサイトであればほぼ自動的に満たされるため、保険診療のみクリニックのHP設計の自由度は高いといえます。

保険診療のみクリニックで限定解除後に掲載可能になる主な情報は、専門外来の詳細な説明、医師の詳細経歴・研修歴・研究業績、各種疾患の詳細な検査・治療方法の説明等です。ただし、自由診療メニューを1つでも追加した場合は、そのページについて条件③④の充足が必要になることに注意してください。

自由診療中心クリニック(美容外科・美容皮膚科等)の全ページ対応

自由診療のみを提供するクリニックは、ウェブサイト内の全ての自由診療に関するページで条件①〜④の全4条件を満たす必要があります。「料金表ページへのリンクで代替する」「リスクのページを別途設けてリンクを張る」という方法では要件を満たしません。費用・リスクは施術ページと同一画面上に、患者が見やすい形で掲載することが求められます。

混合診療クリニック(皮膚科・歯科・整形外科等)のページ別設計管理

混合診療クリニックのHP設計は、「保険診療ページ(条件①②のみ)」と「自由診療ページ(条件①〜④)」の二種類の管理基準を並行して維持することが求められます。実務上の課題は、新しい自由診療メニューを追加した際に条件③④の確認を忘れる、既存の保険診療ページに自由診療メニューの案内(価格表示なし)を追加してしまう——といったケースです。ウェブサイトの全ページを「保険診療のみのページ」「自由診療を含むページ」「混在するページ」に分類し、管理リストを作成することが有効です。

保険診療・自由診療それぞれの広告規制の違いや対応ポイントについては以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
クリニックの広告規制を完全解説|保険診療・自由診療別の対応ポイントと医療広告ガイドライン実務ガイド

>>クリニック向け ホームページ・LP制作について詳しく見る

4. 【ページ種別別】限定解除を満たすコンテンツ設計——施術ページ・料金ページ・医師紹介ページ

自由診療施術ページに必要な構成要素——1ページに揃えるべき情報

構成要素必須/推奨記載水準NGパターン
施術名・施術方法の詳細説明必須(条件③)手技・使用機器・薬剤・麻酔の有無・治療時間・来院回数等を具体的に記載施術名のみ。「詳しくはカウンセリングにて」のみ
費用(条件③)必須(条件③)最低〜最高金額の幅・税込表示・付随費用(初診料・麻酔代等)を含めた明示「○万円〜」のみ(上限不明)。「要相談」「無料カウンセリングで確認」のみ
主なリスク・副作用(条件④)必須(条件④)当該施術に特有のリスクを具体的に列挙(一般的な記述のみでは不十分)「痛みや腫れが出ることがあります」のみ。リスクページへの外部リンクのみ
問い合わせ先(条件②)必須(条件②)電話番号・メール・フォームのいずれかをページ上のわかりやすい位置に掲載「お問い合わせページへ」のリンクのみ(ページ上に番号なし)
リスク記載の掲載位置必須(ガイドライン本文)施術メリットと比べて極端に小さくない文字サイズで、同一ページ上に掲載フッターに極小フォント。折りたたみ内のみ。外部リンク先のみ

料金一覧ページの設計——「○万円〜」が不十分な理由と正しい表示形式

料金一覧ページに費用を掲載しても、それだけでは条件③を満たしたことにはなりません。条件③は費用と同時に治療内容(施術方法・使用機器等)も必要とするためです。料金一覧ページで費用のみを掲載し、施術詳細は別ページに誘導する設計では、条件③の充足が不完全です。

実務上の推奨設計は、各施術の詳細ページ(施術内容・費用・リスクをすべて含む)を設け、料金一覧ページはそこへの誘導リンクを兼ねる形式です。「料金一覧ページだけを整備すれば限定解除を満たせる」という認識は誤りです。

医師紹介ページで掲載できること・できないこと

医師紹介ページで掲載可能な情報は、医師の氏名・学歴・職歴・取得免許・届出または認定登録された専門医資格(告示の要件を満たす学会のもの)等です。NGパターンとして、「厚生労働省認定○○専門医」(虚偽広告)、認定実態のない団体の「資格」(誇大広告)、「業界屈指の技術を持つ医師」等の主観的評価(誇大広告)——これらは限定解除後も掲載できません。

>>クリニック向け ホームページ・LP制作について詳しく見る

5. 条件③「費用の記載」の正しい書き方——診療科目別のOK例・NG例

費用記載の基本ルール——「最低〜最高金額」「付随費用」の明示

費用について、標準的な施術1回あたりの費用(最低金額から最高金額まで)・税込表示・施術に付随して通常必要となる初診料・再診料・麻酔費用・検査費用・薬剤費用等の金額の明示が求められます。「○万円〜」という最低額のみの表示は最高金額が不明なためNG、「費用はカウンセリングにてご案内します」という費用未掲載もNGです。

診療科・施術NG例OK例ポイント
皮膚科:フォトフェイシャル1回○万円〜(税込)1回○万円〜△万円(税込)※初診料別途△円上限額と付随費用を明示
歯科:インプラントインプラント○万円〜 ※詳しくはカウンセリングにてインプラント(埋入体+上部構造)△万円〜△万円(税込)※CT検査料△円・手術管理料△円を含む何が含まれるかを明記
泌尿器科:ED治療薬処方初回診察費用○円(処方は別途)初診料△円(税込)+処方薬代:1錠△円〜△円(税込)※薬剤の種類・用量により異なります処方薬代の範囲を明示
整形外科:PRP療法要相談PRP療法(1回)△万円〜△万円(税込)※採血検査費用△円を含む「要相談」表示は不可
眼科:ICL(眼内コンタクトレンズ)○万円(片眼)〜ICL(片眼)△万円〜△万円(税込)※術前検査費用(△円)・手術当日点眼薬代(△円)を含む含まれる費用を明示

診療科別費用記載の特記事項

診療科ごとに費用記載で特に注意が必要な事項があります。歯科では、インプラント・セラミック等の費用に「埋入体」「上部構造(かぶせもの)」「CT検査」「手術管理料」等が別途かかるかどうかを明示することが求められます。皮膚科・美容皮膚科では、複数回セットプランと単回料金を明示し、「定期通院が必要か」「追加料金が発生する場合」も記載することが推奨されます。泌尿器科のED治療・AGA治療では、診察費と薬剤費を分けて表示し、薬剤の種類・用量によって費用が変わることを明示する必要があります。眼科のレーシック・ICLは手術前の検査費・点眼薬代等の付随費用が大きいため、これらを含めた総費用の幅を明示することが重要です。

美容クリニックにおける医療広告ガイドラインのNG表現や費用記載の実務対応については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
美容クリニックの医療広告ガイドライン完全ガイド|2024年改正対応・NG表現・HP運用の実務チェックリスト

>>クリニック向け ホームページ・LP制作について詳しく見る

6. 条件④「リスク・副作用の記載」の正しい書き方——具体的な記載水準と表現例

「主なリスク・副作用」で求められる記載の具体的な水準

条件④が求める「主なリスク・副作用」の記載水準は、当該施術に固有のリスクを具体的に列挙することです。「腫れや痛みが出ることがあります」のような一般的・抽象的な記述のみでは不十分とされます。また、ガイドライン本文には「患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮し、例えば、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用しないこと」と明示されています。

掲載場所・文字サイズ・外部リンク禁止——「見えにくい掲載」がNGになる根拠

掲載形式適否理由
施術ページ内にリスク・費用をすべて掲載(同一スクロール範囲)○ OKガイドラインの趣旨を満たす最も確実な形式
「リスクについてはこちら(リンク)」と施術ページに記載✕ NGガイドラインが明示的に外部リンク先への掲載をNG指定
リスクをアコーディオン(折りたたみUI)内のみに格納✕ NG(グレーゾーン)患者が展開しなければ見えない状態は「分かりやすい掲載」に反する可能性
リスクをフッターに6pt程度の極小フォントで掲載✕ NG「利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字」に該当
施術写真の下にリスクと費用を標準フォントで記載○ OK写真と同一ページ上に見やすく掲載されており要件を満たす

診療科別リスク記載例——歯科・皮膚科・整形外科・泌尿器科

診療科・施術不十分なリスク記述(NG)適切なリスク記述の例(OK)
歯科:インプラント手術後に痛みや腫れが出ることがあります術後の腫れ・痛み・内出血(1〜2週間程度)、感染・インプラント周囲炎、オッセオインテグレーション(骨との結合)の失敗、インプラント体の破折、隣接する神経・血管への影響(術前CT検査で確認)、効果・仕上がりの個人差
皮膚科:レーザートーニング(肝斑治療)施術後に一時的な赤みが出ることがあります施術後の赤み・熱感(数時間〜数日)、肝斑の一時的な悪化(照射エネルギーが強い場合)、炎症後色素沈着、白斑・色素脱失(まれ)、効果の個人差(体質・肝斑の状態による)
整形外科:PRP療法(膝)注射後に一時的な痛みが出ることがあります注射部位の腫れ・痛み・熱感(数日間)、感染(まれ)、効果の個人差・必ずしも効果が得られるとは限らない、本療法は保険適用外(自由診療)であり副作用救済制度の対象外
泌尿器科:ED治療薬(バイアグラ等)副作用が出ることがあります頭痛・顔面紅潮・消化不良・鼻詰まり・視覚異常(多くは一時的)、心疾患・低血圧の方は服用不可、硝酸塩系薬剤・α遮断薬との併用禁忌、勃起持続症(まれ)

>>クリニック向け ホームページ・LP制作について詳しく見る

7. 限定解除とSNS・広告LP——ページの種類によって変わる適用ルール

公式ウェブサイト・SNS・広告LP——限定解除が適用されるページとされないページ

ページ・媒体の種類条件①の適合限定解除の適用自由診療情報の掲載可否
公式ウェブサイト(自然検索・URL直接入力)○ 適合○ 条件②〜④次第費用・リスクを同一ページに記載すれば掲載可
バナー広告・リスティング広告「自体」✕ 自動表示のため不適合✕ 適用なし告示の広告可能事項のみ(医院名・診療科等)
バナー広告・リスティング広告のリンク先LP(Q1-7に基づく解釈)○ 患者がクリックしてアクセスするため適合○ 条件②〜④次第費用・リスクを同一ページに記載すれば掲載可の解釈あり
SNS公式アカウント投稿(フォロワーのタイムラインに自動表示)△ 自動表示の要素あり・判断分かれる△ 不確実条件③④を1投稿で全て満たすことが構造上困難
メルマガ(患者が登録申込したもの)○ 患者が自ら登録し求めた情報○ 条件②〜④次第費用・リスクをメルマガ内に全て記載することが必要

⚠️ 注意事項
「同じクリニックのホームページだから全ページに限定解除が適用される」という認識は誤りです。バナー広告・リスティング広告から誘導されるLPが同一ドメインのページであっても、そのLPに費用・リスク・治療内容が適切に記載されていなければ、当該LPについては条件③④が不充足です。ページごとに条件充足を個別に確認する必要があります。

厚生労働省Q&A(Q1-7)が示すバナー広告・リスティング広告LPの取り扱い

厚生労働省Q&A(Q1-7)では、「改正医療法施行後はバナー広告にリンクした医療機関のウェブサイトであっても、リンク先の医療機関のウェブサイトは患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトになりますので、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除可能です」と回答しています(Q&A Q1-7より)。

この解釈に基づけば、バナー広告・リスティング広告のリンク先LPは条件①を満たすと解釈されます。条件②〜④を当該LPに記載していれば、限定解除が適用され、症例写真等の告示外情報の掲載が認められる可能性があります。ただし「広告自体」(バナーのビジュアルやリスティング広告文)には広告可能事項のみ記載できます。

▶ 参照:厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」(Q&Aを含む最新文書のダウンロード先)

SNS投稿に「限定解除を適用しようとする試み」が困難な理由

「公式SNSアカウントの投稿もフォロワーが自ら閲覧するものだから限定解除が適用される」という解釈を前提にSNS投稿でビフォーアフター写真等を掲載しようとするケースがありますが、これは実務上非常にリスクが高い解釈です。①SNS投稿の「自動表示性」:フォロワーのタイムラインに自動的に表示されるSNS投稿は、ガイドラインがNGとする「自動的に画面上に現れる広告」に構造的に近く、条件①の適合が不確実です。②1投稿での条件充足の困難さ:条件②〜④(連絡先・費用・リスクの詳細記載)を1つの投稿内に全て含めることは文字数・表示形式上困難です。③最新Q&Aでの解釈強化:SNS投稿に関するより厳格な解釈が示されており、SNSでの限定解除適用は依然として不確実な領域です。

SNS・広告LPにおけるビフォーアフター写真の掲載ルールや限定解除の実務手順については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
医療広告ガイドラインの「限定解除」完全解説|美容クリニックがビフォーアフター・症例写真を合法的に掲載する4条件と実務手順

>>クリニック向け ホームページ・LP制作について詳しく見る

8. 限定解除が機能しているかを確認する自院チェックシート

保険診療のみクリニック用チェックシート(2条件版)

確認項目確認内容確認状況
条件①:患者が能動的にアクセスするページ自然検索・URL直接入力でアクセスできるページか。有料広告のみからアクセスする専用LPではないか□ OK □ 要確認
条件②:連絡先の明示電話番号・メール・問い合わせフォームのいずれかが、ページ上のわかりやすい位置に掲載されているか□ OK □ 要確認
禁止表現の不在虚偽・誇大・比較・体験談・品位損傷表現がないか(保険診療のみでも禁止は共通)□ OK □ 要確認
専門医資格の正確性掲載している資格は告示の要件を満たす学会が認定したものか。「厚労省認定」等の虚偽表現がないか□ OK □ 要確認
数値情報の最新性医師数・スタッフ数等の数値が現在の実態と一致しているか□ OK □ 要確認

混合診療・自由診療クリニック用チェックシート(4条件版)

確認項目確認内容確認状況
条件①:患者が能動的にアクセスするページ自然検索・URL直接入力・有料広告クリック(Q1-7解釈適用)でアクセスできるページか□ OK □ 要確認
条件②:連絡先の明示電話番号・メール・問い合わせフォームのいずれかがページ上に明示されているか□ OK □ 要確認
条件③:費用の記載(幅あり)施術費用の最低〜最高金額が明記されているか。「○万円〜」のみでないか。付随費用(初診料・麻酔代等)も明示されているか□ OK □ 要確認
条件③:治療内容の詳細記載施術方法・使用機器・薬剤・麻酔の有無・治療時間・来院回数等が具体的に記載されているか□ OK □ 要確認
条件④:リスク・副作用(施術特有)当該施術に固有のリスク・副作用が具体的に列挙されているか。「腫れや痛みがあります」のみでないか□ OK □ 要確認
条件④:リスクの掲載位置・文字サイズリスク情報が外部リンク先のみでなく同一ページ上に、施術メリットと比べて極端に小さくない文字で掲載されているか□ OK □ 要確認
禁止表現の不在虚偽・誇大・比較・体験談・品位損傷表現がないか□ OK □ 要確認
ビフォーアフター写真の条件充足症例写真を掲載している場合、写真と同一ページ上に費用・リスク・施術名が揃っているか。写真に加工・修正はないか□ OK □ 要確認
未承認医薬品・適応外使用の記載未承認品・適応外使用を用いる施術の場合、5事項(未承認・入手経路・国内承認品の有無・安全性情報・副作用救済制度対象外)が記載されているか□ OK □ 要確認

チェックシートの運用——いつ・誰が・どう使うか

チェックシートを最も効果的に機能させるには、「いつ・誰が・どう使うか」を院内で明確にしておくことが重要です。推奨する運用タイミングは3つあります。①新規施術ページ公開前:制作担当者が一次チェックを実施し、院長または指定担当者が最終確認する二重確認フローを設ける。②既存ページの定期点検(半期ごと):施術メニューの追加・料金改定が生じるたびに、該当ページのチェックシートを再実施する。③外部制作会社・広告代理店からの納品時:納品物が限定解除の4条件を満たしているかをチェックシートで確認してから公開承認する。

チェックシートはExcelまたはGoogleスプレッドシートで管理し、施術ページのURLと確認日・確認者・結果を記録しておくことで、万が一行政機関から指導通知が届いた際に確認記録として活用できます。コンプライアンスの記録は経営上のリスク管理の一部として位置付けてください。

>>クリニック向け ホームページ・LP制作について詳しく見る

9. まとめ

クリニックのホームページにおける医療広告ガイドライン「限定解除」の実務対応は、「4条件を満たせばよい」という理解だけでなく、診療種別・ページ種別ごとに適用条件を整理し、具体的なコンテンツ設計に落とし込むことが不可欠です。医療法施行規則第1条の9の2の但し書きにより、保険診療のみのクリニックは条件①②の2条件のみ、自由診療を行うクリニックは条件①〜④の4条件が必要という診療種別による違いを正確に理解することが出発点です。

費用の記載(条件③)では「最低〜最高金額の幅・付随費用の明示」が求められ、「○万円〜」は要件不足です。リスク・副作用の記載(条件④)では「当該施術に特有のリスクの具体的列挙」が求められ、一般的な記述のみでは不十分です。また、リスク情報は外部リンク先ではなく施術ページと同一画面上に、見やすい文字サイズで掲載することがガイドライン本文で明示されています。

本記事で提示した診療科別のOK/NG例、ページ種別ごとの設計指針、保険診療のみ用・混合診療用の2種類のチェックシートを活用して、自院のウェブサイトが限定解除の条件を確実に満たしているかを確認してください。不安がある場合や自由診療メニューを新たに追加する場合は、医療広告規制に精通した専門家への確認を推奨します。公的機関の最新情報は厚生労働省の公式ページで随時確認してください。

>>クリニック向け ホームページ・LP制作について詳しく見る

医療広告ガイドラインの3文書の読み方やコンプライアンス体制の構築方法については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
クリニックの医療広告ガイドライン完全活用ガイド|3文書の読み方・最新改訂対応・コンプライアンス体制の構築手順

執筆者

弁護士。京都大学経済学部卒業、京都大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。独立行政法人中小企業基盤整備機構では国際化支援アドバイザーとして活動。
㈱Camphor Tree において、医療分野・税理士など専門サービス業における、マーケティング・ブランディング・HP/LP 制作・SEO・コンテンツ設計など、集客から売上につながる戦略設計・実行支援を行う。

目次