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訪問歯科を始めたものの、思うように患者さんの依頼が増えないと悩んでいませんか?あるいは、これから訪問歯科診療を導入しようとしているが、具体的なマーケティング方法がわからないとお感じではないでしょうか。訪問歯科は高齢化社会を背景に需要が急拡大している一方で、通常の外来歯科とはまったく異なるマーケティング戦略が求められます。患者さん本人ではなく家族やケアマネジャーが意思決定者になるという特殊な構造を理解せずに外来歯科と同じアプローチをとっても、なかなか成果にはつながりません。
本記事では、訪問歯科マーケティングの全体戦略フレームワークから、ケアマネ・介護施設への営業手法、ホームページ・SEO・MEO・Web広告の活用方法、口腔機能管理による差別化、2026年診療報酬改定の活用、成長フェーズ別の施策、医療広告ガイドラインの実務ポイントまで、競合他院が触れていない実践的ノウハウを体系的にお伝えします。
日本は世界でも類を見ない超高齢社会を迎えており、訪問歯科診療の市場は今後さらなる拡大が見込まれます。厚生労働省の「介護保険事業状況報告 月報(暫定版)」によると、2025年1月時点での要介護認定者数は719.7万人に達しており、2023年1月の693.3万人、2024年1月の706.7万人と比較して年々増加傾向が続いています。2025年には団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」を迎え、医療・介護双方の需要増は必至です。
さらに、2020年から2040年にかけて85歳以上の在宅医療需要は62%増加すると予測されており(厚生労働省「歯科医療提供体制の現状について」)、通院が困難な要介護者・高齢者を対象とする訪問歯科への需要は中長期にわたって増加の一途をたどると考えられます。要介護者の約9割は何らかの歯科治療または専門的口腔ケアを必要としているにもかかわらず、実際に歯科治療を受けているのは約27%にとどまるというデータもあり(厚生労働省)、いかに大きな潜在需要が眠っているかがわかります。
ポイント
要介護者の約9割が歯科的ニーズを持ちながら、実際に受診しているのは27%前後に過ぎません。この「歯科的に未充足な層」こそが訪問歯科の最大のターゲット市場です。高齢化が進む地域では、早期に認知度を高め、ケアマネや施設との信頼関係を構築することが競争優位につながります。
訪問歯科の需要が高まっている反面、参入する歯科医院の数も増加しています。特に都市部では複数の歯科医院が同じ介護施設・ケアマネを取り合う状況が生まれており、単に「訪問歯科をやっています」と宣伝するだけでは他院との差別化が難しくなっています。船井総合研究所の調査によると、過去10年間で訪問歯科に参入する歯科医院は全国的に増加傾向にあり、今後もこの流れが続くと予測されています。
一方、地方部では訪問歯科を行える歯科医師・歯科衛生士の絶対数が不足しており、人材面での競争はそれほど激しくない地域も存在します。地方部での訪問歯科参入は都市部より障壁が低い反面、移動コストや診療効率の問題があり、独自のマーケティング戦略が必要です。いずれにしても「今後さらに競合が増える前に認知・信頼を獲得しておく」姿勢が重要です。
訪問歯科のマーケティングが通院歯科と大きく異なる最大の理由は、「誰がサービスを選ぶのか」という意思決定の構造の違いにあります。通院歯科では患者本人がインターネットや口コミで歯科医院を検索し、自ら予約して来院します。しかし訪問歯科では、歯科医院に依頼するのは患者本人ではなく、ケアマネジャー・介護施設スタッフ・家族が中心です。これはBtoC(消費者向け)とBtoB(法人・機関向け)の両方のマーケティングが必要であることを意味します。
また、訪問歯科は一度依頼を受けると継続的に診療するケースが多く、LTV(顧客生涯価値)が高い反面、最初の「信頼の獲得」に時間がかかるという特性もあります。通院歯科のように「すぐに予約が入る」という状況になりにくいため、マーケティングの効果が出るまでの期間を見越した継続的な取り組みが必要です。
訪問歯科のマーケティングを成功させるには、「BtoC」と「BtoB」の二軸で戦略を設計することが重要です。BtoCは、インターネットで「訪問歯科 〇〇市」と検索する患者家族や、地域のチラシ・ポスターを見た方への訴求です。BtoBは、ケアマネジャー・介護施設・地域包括支援センター・病院など、患者を紹介・送り出す立場の人への営業・関係構築です。
| 項目 | BtoC(患者・家族向け) | BtoB(施設・ケアマネ向け) |
|---|---|---|
| 主な相手 | 要介護者の家族・本人 | ケアマネジャー・施設長・看護師 |
| 主な接点 | ホームページ・チラシ・SNS | 訪問営業・勉強会・紹介 |
| 意思決定の速さ | 急を要するケースが多い | 信頼関係構築に数ヶ月〜1年 |
| 重視される情報 | 費用・エリア・依頼方法・安心感 | 専門性・実績・対応の丁寧さ |
| 効果的なツール | HP・Googleビジネスプロフィール・リスティング広告 | パンフレット・口腔ケア勉強会・紹介カード |
多くの歯科医院が陥りがちなのは、ホームページ等のBtoC施策だけに力を入れてBtoB施策を疎かにするパターンです。訪問歯科では、実際にサービスの依頼件数を大きく左右するのはBtoB(施設・ケアマネ経由)の紹介であるため、まずBtoBのアプローチを優先し、BtoCのWeb施策はその補完として位置づけることが多くのケースで有効です。
ポイント
BtoBアプローチ(ケアマネ・施設への直接営業・勉強会)は費用が少なく継続的な依頼につながりやすい一方、成果が出るまでに3〜12ヶ月かかることも珍しくありません。焦らずに地道な関係構築を続けることが、長期的な集患基盤を作る近道です。
訪問歯科のマーケティングは「認知」「関係構築」「依頼」「継続」の4ステップで考えると整理しやすくなります。
【Step1:認知】まずはケアマネや介護施設スタッフ、患者家族に「この地域に訪問歯科をやっている歯科医院がある」と認知してもらう段階です。ホームページ、Googleビジネスプロフィール(MEO)、チラシ・パンフレットの配布、介護施設への挨拶回りが主な手法です。
【Step2:関係構築】認知してもらった後は、「信頼できる医院」として関係性を深める段階です。ケアマネジャーへの定期訪問、口腔ケア勉強会の開催、無料歯科検診の実施などを通じて、「この歯科医院に任せれば安心」という信頼を積み上げていきます。
【Step3:依頼】信頼関係が構築できると、ケアマネや施設から具体的な患者紹介・依頼が入り始めます。この段階では対応の迅速さ・丁寧さが次の「継続」につながるため、初回対応を特に大切にする必要があります。
【Step4:継続】訪問歯科は、一度ご縁がつながれば長期間にわたって継続利用されることが多いのが特徴です。患者さん・家族・施設スタッフへの丁寧な対応、定期的な情報提供、アフターフォローが継続とさらなる紹介(口コミ)につながります。
限られた人員・コストの中で最大の効果を得るには、施策の優先順位を明確にする必要があります。以下の表を参考に、自院の状況に合わせた優先度を設定しましょう。
| 施策 | 効果の速さ | 難易度 | 費用感 | 優先度 |
|---|---|---|---|---|
| ケアマネ訪問・勉強会 | 中(3〜6ヶ月) | 中 | 低(交通費のみ) | ★★★★★ |
| ホームページ制作・SEO | 低(6ヶ月〜) | 高 | 中〜高 | ★★★★☆ |
| MEO(Googleビジネスプロフィール) | 中(1〜3ヶ月) | 低〜中 | 低(無料〜) | ★★★★☆ |
| リスティング広告 | 高(即効性あり) | 中 | 中〜高 | ★★★☆☆ |
| パンフレット・チラシ配布 | 中(1〜2ヶ月) | 低 | 低〜中 | ★★★★☆ |
| 口腔機能評価の勉強会開催 | 中(3〜6ヶ月) | 中 | 低 | ★★★★★ |
訪問歯科を立ち上げて間もない段階では、まずケアマネ訪問・MEO・パンフレット配布に集中することをお勧めします。ホームページのSEOは中長期施策であるため、短期での集患が必要な時期にはリスティング広告を活用する選択肢もあります。ある程度の依頼件数が安定してきたら、口腔機能評価の勉強会開催など差別化施策に投資を拡大するというロードマップが現実的です。
注意点
マーケティング施策は「一度やったらOK」ではありません。ケアマネや施設との関係は定期的な接触を続けなければ薄れていきます。また、ホームページは公開して終わりではなく、情報の更新・追加を継続することが検索順位維持に不可欠です。施策ごとに担当者を決め、定期的な振り返りと改善サイクルを回しましょう。
訪問歯科が集患において難しいとされる最大の理由は、「患者本人が選択者でないケースが多い」という点です。通常の歯科医院では患者本人が歯の痛みや不快感を感じて自ら来院の判断をしますが、訪問歯科の対象者は要介護・要支援の高齢者や重度障がいのある方が多く、自ら歯科医院を選んで連絡する能力が制限されていることが少なくありません。
そのため、依頼の多くは本人の代わりに動くケアマネジャー、在宅を支援する訪問看護師・ヘルパー、介護施設のスタッフ、または家族から来ます。これらの「キーパーソン」に自院を知ってもらい、信頼してもらえなければ、いくらWeb上で訴求しても依頼には結びつきにくいのです。
外来歯科は地域に住む幅広い年齢層を対象にしているため、地域でのチラシ配布・Web広告なども有効に機能します。一方、訪問歯科は「通院が困難な要介護者・高齢者・障がい者」というターゲット層が限定的で、かつその周囲にいる「意思決定者」にアプローチしなければなりません。広告コストをかけてもターゲット層に届きにくいという構造的課題があります。
また、訪問歯科自体の認知度がまだ高くないことも課題です。「歯科医院が自宅や施設に来てくれる」というサービスを知らない家族・介護者も多く、まずは訪問歯科という選択肢の存在そのものを広める啓発活動が必要な場合もあります。
歯科医院の広告は、厚生労働省の「医療広告ガイドライン」によって規制されています。「この地域で一番の訪問歯科」「完全に改善します」などの誇大表現は禁止されており、患者体験談の掲載も原則として認められていません。このため他業種のような積極的な広告展開ができず、差別化が難しいという側面があります。
ただし、ガイドラインの範囲内でも十分に効果的な情報発信は可能です。「対応エリア」「診療内容の具体的な説明」「費用の目安(保険適用の場合の自己負担額)」「依頼から訪問までの流れ」など、事実に基づいた有益な情報を丁寧に提供することで、患者家族やケアマネからの信頼を得ることができます。
注意点
医療広告ガイドラインでは、ホームページ・チラシ・SNS等すべての広告媒体が規制対象です。「体験談」「〇〇No.1」「絶対に改善」等の表現は行政指導や場合によっては罰則の対象となります。発信前に必ずガイドラインを確認し、不明点は歯科医師会や弁護士に相談することをお勧めします。
訪問歯科の集患が難しい理由と具体的な解決策については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
訪問歯科の集客を成功させる方法|ケアマネ連携・Web施策・広告規制まで徹底解説
訪問歯科の集患において、ケアマネジャー(介護支援専門員)との関係構築は最も重要な施策の一つです。ケアマネジャーは利用者やその家族から「歯科治療を受けさせたい」という相談を受けた際、信頼できる歯科医院を紹介する立場にあります。したがって、ケアマネジャーに「この歯科医院は信頼できる、患者さんを安心して紹介できる」と思ってもらえれば、継続的な紹介ルートを確立することができます。
具体的な関係構築の手順としては、まず居宅介護支援事業所のリストを地域包括支援センターや市区町村の窓口で入手し、定期的に訪問するところからスタートします。初回訪問では自院のパンフレットを持参し、訪問可能エリア・診療内容・費用感・連絡方法を簡潔に説明します。2回目以降の訪問では「先日ご依頼いただいた患者さんはその後このような状態です」という形で情報共有を行い、ケアマネが安心して紹介できる「信頼の実績」を積み上げていきます。
また、口腔ケアに関する勉強会(1〜2時間程度)をケアマネや介護職員向けに開催することも非常に有効です。歯科と介護が連携することの重要性、誤嚥性肺炎予防と口腔ケアの関係、簡単にできる口腔ケアの方法などを分かりやすく伝えることで、「この歯科医院は専門知識があって頼りになる」という認識が定着します。
ケアマネ営業準備チェックリスト:
ポイント
ケアマネジャーへの訪問は「月1〜2回の定期訪問」を目安に継続することが重要です。1回訪問しただけでは覚えてもらえないことがほとんどです。季節の挨拶を兼ねた訪問や、役立つ口腔ケア情報のニュースレター配布なども継続的な接点づくりに有効です。
特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、グループホームなどへのアプローチは、一度契約を獲得できれば安定的かつまとまった患者数を確保できる重要な施策です。施設への新規アプローチでは、「無料歯科検診の実施」が有効な入り口となります。無料で入居者の口腔状態を評価し、検診結果報告書を施設側に提供することで、施設スタッフとの信頼関係を構築しやすくなります。
施設側からすると、入居者の口腔状態を把握することはケアの質向上につながるため、無料検診は歓迎されることが多いです。検診後に歯科的ニーズが高い入居者に対してそのまま訪問診療の依頼につながるケースも多く、効果的な集患手法といえます。ただし、無料検診はあくまで「信頼構築の入り口」であり、質の高い診療・丁寧な対応なしには継続につながらない点に注意が必要です。
また、介護施設での口腔ケアに関する研修会・勉強会の開催も有効です。介護スタッフが日常的に実施する口腔ケアのポイントや、誤嚥性肺炎予防の重要性を伝えることで、施設側に「歯科との連携が必要だ」という意識を持ってもらうことができます。
地域包括支援センターは、高齢者の支援に関する相談窓口として機能する地域の拠点施設です。センターのスタッフは日常的に多数の高齢者・家族・ケアマネと接点を持っており、「訪問歯科のニーズがある方」と自院をつなぐ橋渡しをしてくれる可能性があります。センターへの挨拶・情報提供・連携強化は、中長期的な認知拡大に寄与します。
また、地域の「多職種連携ネットワーク」や「在宅医療・介護連携推進協議会」などへの積極的な参加も重要です。医師・看護師・薬剤師・栄養士・介護士など多様な職種が連携する場に歯科医師が参加することで、「訪問歯科の専門家」として地域に認知され、自然な紹介ネットワークが生まれます。多職種連携のなかで「口腔機能の低下は誤嚥性肺炎や栄養不良のリスクにつながる」という情報を継続的に伝えることで、歯科への理解と紹介意欲が高まります。
訪問歯科のオフライン施策で欠かせないのが、わかりやすいパンフレット・リーフレットの制作です。ターゲットとなるケアマネ・介護施設スタッフ・患者家族にとって知りたい情報を「一目でわかる」形にまとめることが重要です。
パンフレットに盛り込むべき主な内容は、①訪問歯科診療でできること(治療内容)、②対応エリア(市区町村・目安の範囲)、③費用の目安(保険適用時の自己負担例)、④訪問までの流れ(問い合わせ→日程調整→初回訪問→継続診療)、⑤連絡先(電話・メール・LINEなど)、⑥スタッフ紹介(院長・衛生士の顔写真と一言コメント)の6点です。特に「費用」「エリア」「連絡先」は最初に目につく位置に配置しましょう。
配布先としては、居宅介護支援事業所・特養・老健・グループホーム・デイサービス・訪問看護ステーション・病院(地域連携室)・市区町村の保健センター等が考えられます。配布は一度きりにせず、スタッフが変わることを想定して定期的に補充・再配布する仕組みを作ることが大切です。
注意点
パンフレットやチラシも医療広告ガイドラインの規制対象です。「地域No.1」「完治保証」などの表現は使用できません。また、費用表記には「保険適用の場合は〇割負担」という形で正確に記載し、誤解を招かないよう注意してください。
訪問歯科のホームページは、通常の歯科医院のホームページとは目的とターゲットが異なります。主な閲覧者は「親や家族が通院できなくなった」という状況に直面した家族や、地域の施設・ケアマネジャーです。彼らが知りたい情報にすぐアクセスできる構成と、「安心して依頼できそう」と感じさせるコンテンツが求められます。
訪問歯科ホームページ必須コンテンツチェックリスト:
特に重要なのは「ご依頼の流れ」を図解で示すことです。訪問歯科は通常の歯科受診とは手順が異なるため、「最初にどうすれば良いかわからない」という不安を解消するコンテンツが有効です。また、よくある質問(FAQ)を充実させることで、問い合わせ前の疑問を解消し、問い合わせのハードルを下げることができます。
ポイント
訪問歯科のホームページは、外来向けのホームページとは別に「訪問歯科専用ページ」として独立させることで、SEO効果が高まりやすくなります。「〇〇市 訪問歯科」というキーワードで上位表示を目指す場合、訪問歯科に特化したコンテンツが充実しているページが評価されやすいためです。
訪問歯科のSEO対策では、「訪問歯科 + 地域名(市区町村)」というキーワードでの上位表示を目指すことが基本です。「〇〇市 訪問歯科」「〇〇区 訪問歯科 在宅」「寝たきり 歯科 〇〇市」「要介護 歯科 自宅」などのキーワードで検索結果の上位に表示されることで、患者家族やケアマネジャーからの問い合わせを獲得できます。
SEO対策の主な施策としては、①ページタイトル・見出し・本文にキーワードを自然な形で含める、②地域密着の情報(対応エリア、地域の介護施設との連携実績など)を充実させる、③訪問歯科に関する専門的なコラム記事を定期的に追加する(コンテンツSEO)、④ページの表示速度を改善しスマートフォンでも見やすいデザインにする(テクニカルSEO)の4点が柱となります。
SEOの効果が出るまでには一般的に3〜6ヶ月以上かかります。継続的なコンテンツ更新と、口腔ケアに関する有益なコラム記事の積み重ねが中長期的な集患に効いてきます。
Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の最適化(MEO:マップエンジン最適化)は、訪問歯科における費用対効果の高いWeb施策の一つです。「〇〇市 訪問歯科」とGoogleで検索した際に表示される地図上の検索結果(ローカルパック)に上位表示されることで、患者家族からの問い合わせを増やすことができます。
Googleビジネスプロフィールへの登録・最適化では、①院名・住所・電話番号・営業時間の正確な入力、②訪問歯科対応エリアや診療内容の詳細記載、③院内・スタッフの写真の積極的な掲載(視覚的な安心感の提供)、④口コミへの丁寧な返信(良い口コミも悪い口コミも誠実に対応)、⑤投稿機能を使った定期的な情報発信(キャンペーン・コラムなど)が重要なポイントです。
口コミの数・評点はMEO上位表示に大きく影響します。信頼できる患者家族や施設スタッフに口コミを依頼する際は、強制や報酬を伴わない自然な形で行い、Googleのポリシーに違反しないよう注意が必要です。
リスティング広告(Google広告・Yahoo!広告)は、「訪問歯科 〇〇市」などのキーワードで検索した人に対して、検索結果の上位に広告を表示できる即効性の高い施策です。SEOと異なり費用はかかりますが、効果が出るまでの時間が短く、訪問歯科を始めて間もない時期や、特定の地域でのシェア拡大を急ぎたい時期に有効です。
訪問歯科のリスティング広告では、「地域名+訪問歯科」「在宅 歯科治療 〇〇市」「寝たきり 歯科」などのキーワードに絞り込んで出稿することが費用効率を高めます。広告文では「〇〇市全域対応」「保険診療可能」「まずはお電話を」などの情報をコンパクトに盛り込み、クリック後の遷移先ページ(ランディングページ)の質を高めることが重要です。
SNS広告(Facebook・Instagram広告)は、要介護者の家族層(40〜60代)をターゲットにした地域別配信ができるため、訪問歯科の認知拡大に活用できます。ただし、医療広告ガイドラインに沿った表現が求められる点と、直接的なコンバージョン(問い合わせ)よりも認知拡大・ブランディング目的での活用が中心になる点を理解したうえで運用計画を立てましょう。
注意点
リスティング広告・SNS広告の運用では、医療広告ガイドラインに沿った広告文を使用する必要があります。「治ります」「最安値」「口コミ4.9点」などの表現は審査で掲載拒否になるだけでなく、法令違反になる可能性もあります。広告文の作成前にガイドラインの確認を徹底してください。
歯科医院のWeb施策を活用した集患方法については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
歯科医院が初診を増やす方法|今すぐ実践できる集患施策12選
訪問歯科における競合差別化の核心として、近年注目されているのが「口腔機能評価」の導入です。単に歯の治療・義歯の修理・口腔清掃といった処置を提供するだけでなく、患者の口腔機能を客観的に評価して数値化・可視化し、ケアに活かすアプローチは、まだ多くの歯科医院が取り入れていない差別化領域です。
口腔機能評価では、舌苔付着度・舌口唇運動機能・舌圧・咀嚼機能・口腔乾燥・嚥下機能など、多様な項目を評価します。これらを数値化・記録することで、①現状の口腔機能の客観的把握、②経過の追跡と改善効果の可視化、③介護職員や家族への説明のしやすさが向上します。数値で改善効果を示せることは、施設や家族からの信頼獲得に直結します。
介護施設への営業活動においても「口腔機能評価を実施している訪問歯科です」というアピールは強力な差別化要因になります。施設側は入居者のQOL(生活の質)向上に責任を持っており、「口腔機能を定量的に管理してくれる歯科医院」は単なる治療提供者を超えた専門パートナーとして評価されます。
ポイント
口腔機能評価の導入にあたっては、評価に必要な機器(舌圧測定器・口腔水分計など)の初期投資が必要ですが、1台数万円〜20万円程度のものが多く、差別化効果と比較してコストパフォーマンスは高いといえます。日本歯科医学会の「口腔機能低下症」に関する診断基準を参考に、標準化された評価プロトコルを院内で構築しましょう。
口腔機能の低下は、「食べること」に直結する問題です。摂食嚥下障害(食べ物を飲み込む機能の低下)は誤嚥性肺炎の原因となり、要介護高齢者の死因の上位を占めています。「食支援歯科」、すなわち摂食嚥下機能の評価と訓練まで行うことができる訪問歯科は、介護・医療の現場から強く求められている存在です。
介護施設への営業では、「誤嚥性肺炎の予防に歯科が貢献できる」「食形態の見直しや嚥下訓練を提供できる」という切り口が施設長・看護師・管理栄養士に響きます。多職種カンファレンスへの参加、嚥下評価結果の共有、食事介助に関する職員研修など、「歯科が食の安全に貢献する存在」としてのポジショニングを確立することで、施設との深い連携関係を構築できます。
実際に、摂食嚥下リハビリを積極的に行っている訪問歯科は施設側の評価が高く、他の歯科医院に切り替えられにくいというデータもあります。専門性が高まるほど「代替のきかない存在」になれるため、訪問歯科への参入・強化を考える場合は摂食嚥下の専門知識・技術への投資を優先することをお勧めします。
訪問歯科が地域の多職種チームの中で「信頼される専門家」になるためには、口腔ケアの取り組みと成果を積極的に「見える化」することが重要です。具体的には、①訪問後に担当ケアマネや施設スタッフへの報告書(口腔状態・実施した処置・日常ケアの依頼事項)を定期的に送付する、②口腔ケアアセスメントシートを作成して施設全体で共有する、③カンファレンスや担当者会議に歯科として参加し、口腔面からの情報提供を行う、といった取り組みが挙げられます。
報告書や情報共有の内容を充実させることで、介護スタッフは「歯科が何をやってくれているか」を理解しやすくなり、歯科の重要性に対する認識が高まります。これは口コミや紹介による新たな患者獲得にもつながります。
2026年(令和8年)6月1日施行の診療報酬改定では、「質の高い在宅歯科医療の提供の推進」を基本方針として、訪問歯科診療に関する大きな見直しが行われました。主な変更点は8項目にのぼり、施設基準の再編・加算体系の刷新・医科歯科連携の強化が柱となっています。
最も注目すべき変更が、「在宅歯科医療推進加算(一律100点)」の廃止と3段階加算への再編です。改定後は在宅療養支援歯科診療所1(歯援診1):100点、在宅療養支援歯科診療所2(歯援診2):50点、在宅療養支援歯科病院(歯援病):100点と差がつき、歯援診2を届出している医院は事実上50点の減算となります。歯援診1の取得がこれまで以上に収益面で重要になりました。
また、同一建物で10人以上を診る「歯科訪問診療4・5」に新たな施設基準が設けられ、歯援診の届出がなく新基準も満たさない医院は2027年6月以降に所定点数の50%減算となります。経過措置は令和9年5月31日までのため、この間に届出の準備を進めることが急務です。さらに、医科の保険医療機関からの依頼で入院患者への歯科訪問診療を実施した場合に加算できる「医科連携訪問加算(500点)」が新設されており、地域病院との連携強化が新たな収益機会になります。
注意点
2026年改定の施行日は令和8年6月1日です。施設基準(歯科訪問診療4・5)の経過措置は令和9年5月31日まで。最新の点数・要件については厚生労働省の公式通知・告示および日本歯科医師会の案内を必ず確認してください。
改定内容を把握していない施設長・管理者はまだ多く、最新情報を持参して施設を訪問することは、専門性アピールと「緊急度感」の醸成に直結します。特に有効なのが「訪問歯科衛生指導料の見直し」に関する説明です。1人への個別訪問は1回あたり380点(改定前362点)と増点された一方、10人以上の集団対応は260点(同295点)に減点されました。この点数体系の変化は「施設全体への一律訪問から個別・専門的ケアへの移行が制度として後押しされている」ことを意味し、「1対1の丁寧な診療を提供できる当院にとってはむしろ追い風」という形で施設側に伝えることができます。
また、「在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料」に「区分4(自宅療養患者への食事観察・口腔機能評価指導)」が新設され、歯科衛生士も実施者として認められました。施設・在宅双方で食支援への歯科の関与が拡大していることを勉強会で伝えることで、「うちでも取り組んでほしい」という需要を引き出しやすくなります。
ポイント
2026年改定で「医科連携訪問加算(500点)」が新設されました。近隣の病院(歯科なし)の地域連携室や担当医に「入院患者への歯科訪問を依頼した場合、医科側でも口腔管理連携加算を算定できます」と伝えることで、病院側にも算定メリットが生じます。医科と歯科が双方にメリットを持てる連携提案として、病院への新規アプローチに活用しましょう。
改定情報を施設・ケアマネ向けの勉強会・研修会のテーマに取り入れることで、「最新情報を持ってきてくれる歯科医院」という印象が定着します。「2026年改定で変わった訪問歯科の位置付け」「医科歯科連携が進む背景と訪問歯科の役割」「口腔機能評価が在宅ケアに与える影響」といったテーマで30〜60分の研修会を開催し、参加者に実務に直結する情報を提供することは、単なる営業訪問よりも深い信頼関係構築に貢献します。
歯援診1の施設基準の実績要件が「過去1年間18回以上」から「直近1か月10回以上(または施設訪問5回以上かつ20分超が6割以上)」に変更され、毎月の実績管理が重要になりました。この点を施設スタッフと共有し、「月ごとの計画的な訪問スケジュールを一緒に組みましょう」と提案することで、施設側との連携が深まります。研修会はオンライン(Zoom等)開催も取り入れ、多忙なケアマネが参加しやすい環境を提供しましょう。
AI検索時代における歯科医院の情報発信戦略については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
歯科医院のLLMO対策|AI検索時代に「選ばれる医院」になるための完全ガイド
訪問歯科を始めて間もない立ち上げ期は、「まず認知を広げ、最初の信頼を構築する」ことに全力を集中する時期です。この段階では、広告費に大きな投資をする前に、コストがかからないBtoBアプローチ(ケアマネ訪問・無料検診・MEO登録)を優先的に行いましょう。
立ち上げ期の主要施策としては、①近隣ケアマネジャー事務所への挨拶回り(月10〜20か所目安)、②Googleビジネスプロフィールの整備・最適化(無料)、③訪問歯科専用のパンフレット作成と配布、④ホームページへの訪問歯科専用ページ追加(最低限の情報掲載)、⑤地域包括支援センターへのアプローチが挙げられます。この段階では「依頼件数を急いで増やす」よりも、「1件1件の対応を丁寧に行い、信頼実績を積み重ねる」ことが最も重要です。
ある程度の依頼件数が安定してきた拡大期には、「集患活動の仕組み化」と「新規施設・エリアへの参入」が課題になります。この時期には、訪問コーディネーターや営業担当者の採用・育成を検討し、院長一人が集患と診療を兼任する状態から脱却することが重要です。
具体的な施策としては、①訪問ルートの効率化(コーディネーターによる日程管理・ルート最適化)、②新規施設(デイサービス・有料老人ホーム等)への無料検診・勉強会の展開、③ホームページのSEOコンテンツ強化(コラム記事の継続追加)、④リスティング広告の本格活用、⑤口腔機能評価の導入と施設への差別化アピールが挙げられます。また、既存のケアマネ・施設スタッフとの関係を深め、「既存顧客からの紹介(口コミ)」が生まれる仕組みを作ることも重要です。
月商800万円以上の安定成長期においては、「専門性のさらなる向上」と「業務DXによる効率化」が競争力維持の鍵になります。この段階では、摂食嚥下・口腔機能低下症など専門的な領域への特化を強め、単なる「訪問歯科医院」から「口腔機能管理の専門医療機関」としてのポジショニングを確立することを目指します。
DXの面では、電子カルテと訪問診療システムの連携、訪問記録のデジタル化、患者・家族とのLINE連絡の整備など、業務効率化が図れる仕組みを整えることで、スタッフの負荷を下げながら対応件数を増やすことが可能になります。また、リファラル採用(スタッフの紹介による採用)を積極化し、訪問歯科の理念に共感する人材を継続的に確保する採用マーケティングも、この段階では重要な課題です。
成長フェーズ別の施策を整理した表は以下のとおりです。
| フェーズ | 立ち上げ期 | 拡大期 | 安定成長期 |
|---|---|---|---|
| 月商目安 | 〜100万円 | 300〜400万円 | 800万円〜 |
| 主な課題 | 認知がない・依頼が来ない | 対応可能な施設数・スタッフ不足 | 専門性のさらなる向上・差別化 |
| 重点施策 | ケアマネ訪問・HP基礎整備・MEO | 施設への無料検診・勉強会・広告 | 口腔機能評価・DX導入・採用強化 |
| 体制づくり | 院長1名+衛生士で小規模から | 専任コーディネーター・営業担当配置 | ハイブリッド人材育成・リファラル採用 |
歯科医院の広告・情報発信は「医業等に係る広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」(厚生労働省)によって規制されており、ホームページ・チラシ・SNS・動画等すべての媒体が対象となります。訪問歯科特有の文脈で注意が必要な主なNG表現は以下のとおりです。
まず、「〇〇市で一番の訪問歯科」「地域No.1」「業界最安値」などの最上位・比較表現は禁止されています。次に、「必ず改善します」「完治します」などの断定的な表現、「〇〇さんのご家族に喜ばれました」などの患者体験談・口コミの掲載も原則として禁止です(例外として施設管理者等に関する書き込みが一定条件下で認められる場合もありますが、要確認)。また、根拠のない「最新技術」「特別な方法」などの表現も問題になる可能性があります。
ガイドラインの制約があっても、患者家族やケアマネが必要とする情報を丁寧に提供することで十分な集患効果は出せます。ポイントは「事実を分かりやすく伝えること」に徹することです。
たとえば、「訪問エリア・診療内容・費用目安を具体的に明示する」「訪問診療の流れをフローチャートで説明する」「歯科医師・衛生士の資格・経歴を掲載する」「医院の方針・理念を院長のメッセージとして掲載する」「よくある質問と回答を充実させる」などは、ガイドラインの範囲内で信頼感を高める効果的なコンテンツです。
SNSの活用においても、口腔ケアのポイントや誤嚥性肺炎予防に関する一般的な情報発信は問題ありません。自院への誘導を露骨にしない形での教育的コンテンツの発信は、専門性のアピールと認知拡大の両面で有効です。
以下の表で、媒体別のOK表現・NG表現をまとめます。発信前の確認に活用してください。
| OK表現 | NG表現(違反リスクあり) |
|---|---|
| 「訪問歯科診療に対応しています」 | 「地域No.1の訪問歯科」 |
| 「〇〇市・〇〇区に対応しています」 | 「完全に治ります」「必ず改善します」 |
| 「費用の目安:保険適用の場合、1回〇〇円程度」 | 「他院より安い」「最安値」 |
| 「歯科医師・歯科衛生士が訪問します」 | 患者の体験談・口コミ(ビフォーアフター含む) |
| 「訪問診療の流れ(図解)」 | 「〇〇先生に頼んだら感動しました」等の推薦文 |
注意点
医療広告ガイドラインは改定されることがあります。本記事の情報は参考情報であり、実際の運用に際しては厚生労働省の最新ガイドラインおよび所属する歯科医師会の指導に従ってください。疑問がある場合は弁護士や歯科医師会への相談を検討しましょう。
歯科医院の医療広告ガイドラインに対応したWeb発信の注意点については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
歯科医院の広告運用完全ガイド|種類・費用・医療ガイドライン対応から成果を出す運用ポイントまで徹底解説
訪問歯科のマーケティングは、通常の外来歯科とは根本的に異なる戦略設計が必要です。本記事のポイントを以下にまとめます。
訪問歯科は、歯科治療を受けたくても受けられない方々のQOL(生活の質)を守るという、高い社会的使命を持った医療です。そのような理念を持ったうえで、地域に必要とされる訪問歯科医院として認知・選択されるためのマーケティング活動に、ぜひ本記事のノウハウをお役立てください。
訪問歯科のマーケティング戦略について専門家のサポートを検討されている場合は、Camphor Treeのマーケティング支援サービスへのご相談もお待ちしています。Webサイト制作・SEO・MEO・Web広告・コンテンツマーケティングなど、訪問歯科の集患に必要な施策を一気通貫でサポートいたします。
弁護士。京都大学経済学部卒業、京都大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。独立行政法人中小企業基盤整備機構では国際化支援アドバイザーとして活動。
㈱Camphor Tree において、医療分野・税理士など専門サービス業における、マーケティング・ブランディング・HP/LP 制作・SEO・コンテンツ設計など、集客から売上につながる戦略設計・実行支援を行う。