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「先月から来院数が前年比で20%以上落ちた」「新規患者は取れているのにリピーターが減っている」「季節変動なのか集客が弱いのかが判断できない」——美容クリニックの院長から、こうした来院数減少に関する深刻な相談が増えています。来院数の減少は経営を直撃する緊急サインですが、原因を特定せずに施策を打っても効果は出ません。
来院数が落ちる原因は、①新規患者の減少、②リピーター離れ、③季節変動、④院内オペレーションの問題という4つのパターンに分類でき、それぞれに最適な対策が異なります。
本記事では、来院数が減少する根本原因の診断チェックリストから始め、リピーター離脱防止・LINE活用・新規集客強化・価格・メニュー見直し・季節変動対策・スタッフ品質管理まで、今日から実践できる来院数回復の全対策を体系的に解説します。
来院数減少の原因として最もわかりやすいのが、新規患者の獲得数自体が落ちているケースです。美容医療市場では2020年の1,404施設から2023年に2,016施設へと3年で43.6%増加しており、同じエリアで競合が増えれば当然新規患者の分散が起きます。また、SEO順位の低下・広告費の無効化・SNSアカウントの更新停止なども新規患者減少の直接原因になります。
GoogleアナリティクスやSearch Consoleでオーガニック流入の推移を確認し、新規の問い合わせ数が前年同期比でどれくらい落ちているかを定量的に把握することが第一歩です。
新規患者は取れているのに来院総数が落ちているなら、リピーター離脱が原因である可能性が高いです。美容クリニックの収益は既存患者のリピートで支えられており、リピーター1人が生涯にわたってもたらすLTVは新規患者の獲得コストを大幅に上回ります。
リピーター離れの主な原因は、施術後のフォロー不足・スタッフ接客品質のばらつき・次回来院の提案がない・競合クリニックへの乗り換えです。「前回の来院から6ヶ月以上経過した患者の数」を毎月カウントし、離脱率の上昇を早期に検知する仕組みが必要です。
美容医療には季節変動があり、夏前(4〜5月)のダイエット・脱毛需要・秋のシミ取り需要などのピーク時期と、正月・GW・お盆などの長期休暇前後の落ち込み時期が存在します。この季節パターンを把握せずに「来院数が落ちた」と過剰反応すると、不必要な値下げや施策変更を行ってしまうリスクがあります。
前年同月比での比較と過去3年間のトレンドを確認することで、一時的な季節変動か構造的な減少かを正確に判断できます。季節ごとの需要波を予測した計画的な集客施策と、閑散期の底上げ施策の設計が重要です。
集客施策に問題がなくても院内オペレーションに問題があると来院数は落ちます。予約のしにくさ(電話のみ・24時間予約不可)によるサイト離脱、高いキャンセル率、スタッフの接客問題による口コミ悪化、診察待ち時間の長さによる患者体験の悪化などが該当します。特に悪い口コミがGoogleマップに蓄積されると新規患者の問い合わせ率が大幅に低下します。
来院数が落ちている場合は、自院のGoogleマップ・SNSの口コミ・キャンセル率データを確認し、施策を変える前に院内の「漏れ」を修繕することを最優先にしましょう。
💡 ポイント:院内オペレーションの「漏れ」を修繕してから集客施策を打つ
集客施策を追加しても院内のキャンセル率・予約のしにくさ・接客品質の問題が残っていれば、来院数は戻りません。来院数が落ちたらまず院内の「漏れ」を点検してから外部施策に投資するのが費用対効果を最大化する鉄則です。
来院数の減少を早期に検知するには、毎月のKPI計測を習慣化することが不可欠です。管理すべき指標は、①月間総来院数(新規+再診別)、②新規患者獲得数と前年同期比、③リピート率(初診から3ヶ月以内の再来院率)、④予約キャンセル率、⑤1患者あたりの月間施術回数の5つが基本セットです。
これらをGoogleスプレッドシートで管理し、前月比・前年同月比を毎月1回レビューします。警戒ラインの目安として、総来院数が前年同月比85%以下・新規患者数が3ヶ月連続で前月比95%以下になった場合は即座に原因調査に入るルールを設定しましょう。
来院数が落ちている場合、まずGoogleアナリティクスで「セッション数・直帰率・コンバージョン率」の推移を確認します。オーガニック流入が落ちていればSEO順位の低下、直接流入が落ちていれば認知度の低下、コンバージョン率が落ちていればLP・予約導線の問題を疑います。
Googleサーチコンソールでは「クリック数・表示回数・平均順位」を主要KWごとに確認し、順位が落ちた記事や狙うべきキーワードの機会を特定します。データに基づく「なぜ落ちているか」の仮説立案が、効果的な来院数回復施策の第一歩です。
電子カルテや予約管理システムに蓄積されたデータを活用することで、リピーター離脱のパターンを特定できます。分析すべき項目は、①初診から2回目来院までの日数の推移(長くなっているなら満足度問題)、②施術別のリピート率(どの施術のリピートが落ちているか)、③来院間隔が半年以上開いている休眠患者の数と推移です。
これらのデータは毎月定点観測することで「どのタイミングで・どの施術を受けた患者が・どれくらいの割合で離脱しているか」という詳細な離脱パターンが見えてきます。パターンが見えれば対策が立てやすくなります。
自院のデータだけ見ていても、業界全体として患者数が増えているのに自院だけ落ちているのか、市場全体が縮小しているのかが判断できません。競合の動向把握として、Googleマップで同エリア競合クリニックの口コミ数の増減を月次でモニタリングし、競合が口コミを急増させている場合は競合にシェアを奪われているサインです。
また、自院の施術別の価格を四半期ごとに競合と比較し、価格競争力が落ちていないかを確認します。「自院の来院数が落ちた理由が競合の台頭なのか、自院固有の問題なのか」を判断することで、打つべき施策の方向性が決まります。
💡 ポイント:競合動向の把握で自院固有の問題か市場全体の問題かを判断する
競合の口コミ数やSNSフォロワーが急増していれば市場シェアを奪われているサイン。逆に競合も同様に落ちているなら市場縮小の可能性があります。この判断なしに施策を打つと方向性が根本的にずれることがあります。
このパターンはリピーター離れが主因です。月間新規来院数が安定しているにもかかわらず総来院数が落ちている場合は、まず初診後2〜3ヶ月以内の再来院率を確認してください。これが50%未満であれば深刻なリピーター離脱問題です。原因として多いのは、施術後のLINEフォローの欠如・次回施術の提案不足・接客品質のばらつきです。
対策の優先順位は、①施術後のLINEアフターフォロー設計→②次回来院提案スクリプトの整備→③スタッフ接客研修→④定期コース・回数券メニューの導入となります。リピーター問題は施策の複合投入が必要です。
⚠️ 注意点:来院数が落ちた時の安易な値下げは患者の質を下げて経営を悪化させる
来院数回復の応急処置として値下げをすると、価格に敏感で離脱しやすい低LTV患者が集まり、本来の問題(満足度・集客力)は解決されないままコスト構造が悪化します。値下げより先に原因診断が必須です。
新規・リピート双方が落ちているケースは深刻度が高く、ブランド力の低下・悪い口コミの蓄積・エリア内での競合過多が重なっていることが多いです。まずGoogleマップの口コミを確認し、最近3ヶ月に低評価が集中していないかを確認します。口コミ問題がある場合は施策を変える前にサービス品質の改善を最優先にします。
口コミに問題がなければSEO順位の低下・SNS更新の停止・広告予算の削減などWebマーケティング施策の劣化が原因として考えられます。マーケティング施策の現状評価と競合調査を実施し、最も影響度の高い施策から再投資を始めましょう。
特定月だけ来院数が落ちるのは季節変動が主因であることが多く、パニックになる必要はありません。過去2〜3年の同月データと比較し、毎年同じ時期に落ち込んでいるなら季節変動として受け入れ、その時期の底上げ施策を計画的に打つことが適切な対応です。
閑散期対策として有効なのは、①閑散期限定の割引・特典キャンペーン、②閑散期前の回数券購入促進、③閑散期の空き時間を活用した新メニュー開発やスタッフ研修への活用です。来院数の季節変動パターンを事前に予測し、年間の集客ロードマップに織り込むことで急な落ち込みへの慌てた対応が不要になります。
予約数は変わらないのに実来院数が落ちているケースは、キャンセル率・ノーショー率の上昇が原因です。月次のキャンセル率が10%を超えている場合は早急な対策が必要です。キャンセル増加の主な原因は、①予約から来院までの期間が長すぎる(1ヶ月以上先まで予約が埋まっている状態)、②来院前のリマインド連絡がない、③患者の来院不安が事前に解消されていないです。
対策として、LINEによる7日前・3日前・前日のリマインド配信の設定、カウンセリング予約時に施術の流れ・費用・ダウンタイムをLINEで事前送信するステップ配信の構築が即効性があります。
来院数が減少するパターン別の原因診断については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
クリニックに患者が来ない本当の理由とは|原因を正しく診断して今すぐ取り組む集患・増患の処方箋
リピーター離脱を防ぐ最も効果的な施策は、施術後のフォローを仕組み化することです。施術翌日のLINEでの体調確認メッセージ・1週間後のアフターケア情報配信・1ヶ月後の次回施術提案という3段階のLINEステップ配信を設計するだけで、リピート率が20〜30%向上した事例があります。
「患者のことを気にかけている」というメッセージは信頼感を高め、次回の来院ハードルを下げます。フォローメッセージは汎用的なものではなく、受けた施術に応じたカスタマイズが効果的で、電子カルテのタグ機能を使って施術別にLINE配信を自動で分岐させる設計が理想的です。
「前回の施術の経過はいかがですか」と具体的に声をかけられたクリニックに患者は強い信頼感を持ちます。予約システムや電子カルテのメモ機能に患者の個人情報(誕生日・家族構成・趣味・悩みの変化)を記録し、次回来院時にスタッフ全員がそれを確認できる仕組みを整えることが、リピーターを増やす「感動体験」の源泉となります。
また、誕生月や施術記念日のタイミングで特別なLINEメッセージを送ることも来院動機を生む効果的な施策です。個別性の高いコミュニケーションは大手チェーンには真似しにくい中小クリニックの強みであり、積極的に活用してください。
来院数が落ちている場合に「何が不満なのか」を知ることなく施策を打っても効果が出ません。施術後にLINEまたは院内でのアンケートを実施し、施術満足度・スタッフ対応・予約のしやすさ・待ち時間などを定期的に計測します。NPS(ネットプロモータースコア)を月次で計測し、推奨者・中立者・批判者の割合の推移を追うことで患者満足度の変化をリアルタイムに把握できます。
アンケート結果はスタッフミーティングで毎月共有し、改善施策を全員で討議する文化を作ることが来院数回復の根本的な解決策となります。
Googleマップの低評価口コミへの返信は、既存患者へのサービス品質への信頼回復と新規患者への「誠実なクリニック」印象形成の両方に効果があります。低評価への感情的な返信や無視は逆効果で、むしろ来院数をさらに下げます。
適切な返信の基本は、①お詫びと感謝の表明(内容の正誤に関わらず)、②具体的な改善施策の明示、③オフラインでの個別対応の案内(「ご連絡をお待ちしております」)の3段構えです。クレームへの誠実な対応は、サイレントマジョリティである来院中の患者の信頼を維持し、来院数の継続的な底支えになります。口コミ管理は月次で必ず行いましょう。
最後の来院から6ヶ月以上経過した「休眠患者」は来院数回復の重要なターゲットです。休眠患者へのLINE一斉配信で「ご来院をお待ちしています。今月限定の〇〇キャンペーンのご案内です」と送るだけで、配信後1〜2週間で5〜15%の再来院が見込める実績があります。
効果的な休眠患者向け配信のポイントは、①最後に受けた施術に関連した情報(その後の経過確認・おすすめ次回施術)、②特別感のある限定特典の提示、③予約のしやすいワンクリックURL設置の3点です。休眠患者名簿は電子カルテで抽出し、月1回以上のアプローチが来院数回復に直結します。
💡 ポイント:休眠患者へのLINE配信は来院数回復の最速・最安の施策
既存患者の休眠リストへのLINEアプローチは広告費ゼロで即日実施でき、配信後1〜2週間で再来院が見込める最速の来院数回復手段です。来院数が落ちたらまず休眠患者リストを抽出してLINEを送ることから始めてください。
全患者に同じLINEメッセージを送っていては効果が出にくく、配信頻度が高すぎるとブロックされて接点が切れます。セグメント配信とは「最近来院した患者」「半年以上来ていない患者」「特定施術(例:医療脱毛)を受けた患者」など患者属性ごとに異なるメッセージを配信する方法です。
施術別・最終来院からの経過期間別に配信グループを分けることで、各患者にとって関連性の高い情報を届けられ、開封率・来院率の両方が向上します。LINEの既読率は70〜80%と高く、メールや電話に比べて圧倒的にコスト効率が高い来院数回復ツールです。
回数券や定期コースを設計することで、患者の来院頻度を「売り切り型」から「継続型」に変換できます。有効期限付きの回数券は患者に「早めに使わなければ」という来院動機を生み、未来の来院を予約に変えます。定期コース(例:月1回の肌ケアプラン月額制)は安定した来院数と売上の予測精度を高める効果があります。
設計のポイントは、①施術の性質に合わせた適切なコース期間(レーザー脱毛は複数回必須、シミ取りは季節性があるなど)、②単発来院より10〜15%お得な価格設定、③コース契約後の次回予約自動確定の仕組みの3点です。
患者の来院のきっかけを計画的に作る施策として、誕生月の特典付き来院案内・初来院記念日のLINEメッセージ・季節の施術情報の定期配信が有効です。「この時期に来院する理由」を人工的に作り出すことで、患者の来院意欲を維持できます。例えば「〇〇さん、来月でご来院1周年ですね。
感謝を込めて施術費用10%OFFのご招待です」というメッセージは、患者との関係性を深めながら来院動機を生成します。このような施策を自動化するには、LINE公式アカウントのステップ配信機能と電子カルテの連携が理想的です。
離脱患者をLINEやCRMで再来院に導く方法については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
美容クリニックのリピーターを増やす方法|患者が「また来たい」と思うクリニックをつくる実践ガイド
来院数が落ちている状況での最速の新規患者補強策はMEO最適化です。Googleビジネスプロフィールの写真・投稿・口コミ返信を充実させることで、数週間単位でマップ上位表示が改善し新規問い合わせが増加します。SEOは即効性がないですが、既存コンテンツのリライト(タイトル・メタディスクリプション・本文の更新)は比較的短期間(1〜2ヶ月)で効果が出ることがあります。
来院数が急落した際の応急処置として、Googleビジネスプロフィールの充実→既存SEOページのリライト→ポータルサイトへの掲載強化の順で優先的に実施してください。
来院数の緊急回復が必要な場合はリスティング広告・Instagram広告が最速の手段です。ただし「来院数が落ちているから広告費を増やす」という対応は、根本原因がリピーター離れや院内品質問題にある場合は費用の無駄になります。
広告投資を増やす前に、①新規患者の予約転換率(広告→問い合わせ→予約)が適正か、②カウンセリング成約率に問題がないか、③来院キャンセル率が高くないかを確認してください。上記3つに問題がない場合に限り、広告費増額が来院数回復に直結します。週次でCPA・CVR・ROASを管理し、費用対効果を常に監視しながら運用しましょう。
来院数が落ちている時期に最もコスト効率の高い新規患者獲得方法が、既存患者からの紹介促進です。満足している患者に「ご家族やご友人をご紹介いただいた場合に特典をご用意しています」と伝えるだけで月に数件の紹介来院が生まれます。LINE公式アカウントに紹介コードを発行する機能を設置し、友人への送信をワンタップでできる環境を整えることで紹介の障壁を下げられます。
紹介患者はキャンセル率が低く満足度も高い傾向があるため、長期的なLTVも高くなります。来院数が落ちている時こそ既存患者との関係強化を通じた紹介プログラムへ注力することが、広告費をかけない来院数回復の近道です。
来院数が落ちている場合、露出しているチャネルの数を一時的に増やすことが来院数回復を加速させます。ポータルサイト(トリビュー・美容ヒフコ等)の掲載内容を最新の施術写真・料金情報に更新するだけでも問い合わせが増えます。
Instagramについては、投稿の更新頻度が落ちていた場合は即座に週3〜4回の投稿頻度に戻し、施術ビフォーアフター・院長の声・スタッフ紹介などのコンテンツを再開してください。「来院数が落ちた時こそ情報発信を増やす」という発想で、すべてのチャネルで自院の存在感を高めることが来院数回復の加速につながります。
来院数が落ちると反射的に「値下げ・割引キャンペーン」を打ちたくなりますが、根本原因によっては逆効果になります。値下げは価格に敏感な低LTV患者を集めることになり、そもそもの問題(リピーター離れ・口コミ悪化・集客チャネルの劣化)は解決されません。特にリピーター離れが原因の場合、値下げで一時的に来院数が戻っても満足度問題が解決されないため再び離脱します。
値下げを行うべきタイミングは「競合との価格差が明らかに大きく、患者インタビューで価格への言及が多い場合」に限定し、まずは非価格的な施策(サービス品質・フォロー強化)で来院数回復を目指すべきです。
来院数が落ちている時期こそ、1来院あたりの単価(施術単価×来院頻度)を高める施策に注力すべきです。まずカウンセリングの際に患者の悩みを丁寧にヒアリングし、現在受けている施術に加えてプラスアルファの提案を行うクロスセル・アップセル設計を見直します。
「本日の施術に合わせておすすめの追加ケアがあります」という提案は、押し売りではなく患者への「気配り」として受け取られます。来院数が落ちていても1来院あたりの単価が上がれば売上への影響を緩和できます。施術単価×来院頻度×来院患者数という3要素の掛け算を意識した経営視点が重要です。
来院数が落ちやすい閑散期に合わせた新メニューや季節施術を投入することで、閑散期の底上げができます。例えば夏の終わりにアフターサン・シミ取りキャンペーン、冬にはクリスマス前のスキンケアコースなど、季節の需要に先手を打った訴求が来院動機を生みます。
新メニュー投入は年に2〜4回(季節ごと)を目安に計画し、既存患者へのLINE先行告知で既存患者のリピートを促しながら新規患者への認知も広げます。また閑散期は来院者が少ないためスタッフの研修時間を確保しやすく、接客品質の向上に活用することも長期的な来院数安定化につながります。
美容クリニックに月額制サブスクリプションを導入することで、来院数の安定化と売上予測精度の向上を同時に実現できます。例えば「月1回の肌ケアレーザー照射+スキンケアアドバイス月額1万5,000円」のような定期プランは、患者にとって「通うのが当たり前」の習慣を生み出します。契約患者が増えるほど月の最低来院数が保証され、閑散期の大幅な落ち込みを防ぐ効果があります。
サブスク設計のポイントは、①月に必ず来院したくなるコンテンツの充実、②解約ハードルを適度に設けながらも解約しにくい満足度を維持、③契約患者限定の特典・優先予約枠の設置です。
💡 ポイント:サブスクリプション型定期コースが来院数の季節変動を緩和する
月額制の定期コースを契約した患者は季節に関わらず毎月来院する習慣が生まれます。契約患者数が増えるほど来院数の下限が担保され、閑散期の急落リスクが大幅に低下します。
価格やメニュー戦略の最適化による収益改善については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
美容クリニックが赤字になる本当の理由と黒字転換のための完全実践戦略
来院数の季節変動を事前に把握するには、過去3年間の月別来院数をグラフ化し、ピーク月と閑散月のパターンを確認することから始まります。美容クリニックの一般的な傾向として、春(3〜5月)は脱毛・ダイエット需要で増加、夏(7〜8月)は日焼けによる施術自粛で微減、秋(9〜11月)はシミ取り・肌ケア需要で増加、年末年始・GW前後は予約が取りにくくなり減少します。
このパターンを年間集客カレンダーに落とし込み、閑散期の3ヶ月前から先行的に集客施策を強化することで、落ち込みを最小化できます。
エリア内での競合増加により来院数が構造的に落ちている場合は、施策の強化だけでは解決できません。自院のポジショニング(誰に・何を・なぜ自院を選ぶべきか)を再設計することが根本的な解決策となります。
再設計の方向性として、①特定施術への看板化(「二重整形ならこのクリニック」という専門特化)、②特定患者層への特化(妊婦さんOKのホルモン系施術専門など)、③院長の専門性・キャラクターを前面に出したパーソナルブランド化の3つが主要なアプローチです。競合が増えれば増えるほど「なぜここに来るのか」の答えを明確にすることが来院数の長期安定化につながります。
2025年3月の医療広告ガイドライン改訂でSNS投稿が規制対象になったように、外部規制の変化が来院数に影響することがあります。Instagram広告が突然審査落ちするようになった・特定の表現を使っていた記事のSEO順位が落ちたという形で規制変化の影響が出ます。
このような外部環境変化への対応策として、広告審査・コンテンツ審査を月次で実施する習慣と、複数チャネルへの分散投資が重要です。1チャネルへの過度な依存(例えばInstagram広告だけ)は外部変化リスクを高めます。規制に強い体制を作るためにも医療広告専門の外部パートナーとの連携が有効です。
経済状況の悪化や消費マインドの低下が美容医療市場全体の縮小につながる局面では、来院数回復には価格帯の最適化が必要になることがあります。高単価メニューのみに依存しているクリニックは、景気後退期に来院数が急落しやすい構造です。
「1万円未満のお試しメニュー」「月額1万円以下の定期ケアプラン」といった参入ハードルの低いメニューを揃えることで、消費マインドが低下した局面でも来院してもらいやすくなります。多様な価格帯のメニュー構成は来院数の安定化と新規患者の裾野拡大に効果的です。
来院数の減少がスタッフ接客品質の問題から来ていることは少なくありません。担当スタッフが変わるたびに患者体験が変わる「属人化」は、患者満足度のばらつきを生み、特定スタッフ目当ての患者が退職とともに離脱するリスクも抱えます。
接客品質の標準化には、①来院時・施術中・会計時の各フェーズでの対応スクリプトの整備、②月次の接客ロールプレイング研修、③患者アンケートのスタッフ別分析と結果の個別フィードバックが有効です。「クリニックのファン」を作るのは施術の質と同等に接客の質であり、来院数の安定化はスタッフへの継続的な教育投資なしには実現しません。
「予約したいが電話しか方法がない」「待ち時間が毎回長い」「再診の予約を取りたいが次の空き枠が1ヶ月以上先」といった院内オペレーションの問題は、来院意欲のある患者を機会損失させる隠れた来院数減少要因です。
24時間オンライン予約システムの導入・LINEからの予約機能設置・診察待ち時間の改善(予約管理の最適化)・会計時間の短縮は、患者体験を向上させて再来院率を高めます。予約システムの投資対効果は高く、導入後にキャンセル率が低下し来院数が増加した事例が多数あります。来院数が落ちているなら施策を打つ前に院内オペレーションの点検を行いましょう。
⚠️ 注意点:特定ドクター・スタッフへの過度な依存が来院数の急落リスクになる
クリニックの集客が特定の院長や人気スタッフの個人人気に過度に依存していると、その人物の離職や体調不良が即座に来院数急落につながります。チームとしてのブランド発信を意識した情報設計が長期安定化に不可欠です。
医師やベテランスタッフの離職は一部の患者の離脱を引き起こし、来院数の急落につながることがあります。「あのドクターが辞めたから別のクリニックへ」という離脱は防ぎにくいですが、クリニックブランドを特定の医師に依存しすぎない発信設計(チーム全体の技術力・クリニックの理念を前面に出す)と、スタッフが長く働きたい職場環境の整備が離職リスクを下げます。
月次のスタッフ満足度調査と1on1ミーティングの実施、適切な評価制度・報酬体系の整備が、来院数の長期安定化に欠かせない院内体制の基盤となります。
来院数の変化に迅速に対応するには、KPIをリアルタイムで可視化するダッシュボードの構築が理想的です。月間来院数・新規患者数・リピート率・キャンセル率・口コミ件数をGoogleスプレッドシートまたはBI(ビジネスインテリジェンス)ツールで自動集計し、院長・マネージャーが毎日確認できる環境を作ります。
前週比・前月比・前年同月比を並べて表示することで、異常値を早期に察知できます。来院数の問題は「落ちてから1〜2ヶ月後に気づく」では手遅れになることがあります。リアルタイムモニタリングの仕組みを作ることで、問題が小さいうちに手を打つ「予防的来院数管理」が実現します。
スタッフ接客品質の標準化や院内体制の整備による経営改善については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
美容クリニックの経営が厳しい本当の理由と院長のための経営改善完全戦略
本記事で解説した来院数回復の実践アクションを整理します。
①月次KPI(来院数・新規患者数・リピート率・キャンセル率)を毎月必ず計測する、②来院数減少の原因を新規患者減少・リピーター離れ・季節変動・院内問題の4パターンで正確に診断する、③施術後のLINEアフターフォローを3段階で仕組み化する、④休眠患者へのLINEアプローチを月1回実施する、⑤Googleマップの口コミと低評価への返信を月次で管理する、⑥MEO対策(ビジネスプロフィールの更新・口コミ促進)を毎週継続する、⑦回数券・定期コースを設計して来院頻度を構造的に高める、⑧スタッフ接客品質の標準化と月次研修を実施する、⑨季節変動カレンダーを作成して3ヶ月前から先行施策を打つ、⑩来院数減少時に根拠なく値下げせず原因別の対策を優先する——この10アクションが来院数回復の骨格です。
来院数の回復は「何が落ちているかを正確に診断すること」から始まります。
今すぐ始められる3つのアクションは、①今月の来院数・新規患者数・リピート率を先月と前年同月と比較して「どのパターンの減少か」を特定する、②Googleマップの口コミを全部読んで悪い傾向がないかを確認する、③LINE公式アカウントで最後の来院から6ヶ月以上経過した患者にフォローメッセージを送る、の3つです。
院内だけで来院数回復施策を進めることに限界を感じている場合は、美容医療専門のWebマーケティング会社や患者満足度改善コンサルタントへの相談を検討してください。専門家の視点を入れることで問題の見落としを防ぎ、回復速度を大幅に高めることができます。
弁護士。京都大学経済学部卒業、京都大学経営管理大学院修了(MBA)
旧司法試験合格、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(日本弁護士連合会・東京弁護士会)。独立行政法人中小企業基盤整備機構では国際化支援アドバイザーとして活動。
㈱Camphor Tree において、医療分野・税理士など専門サービス業における、マーケティング・ブランディング・HP/LP 制作・SEO・コンテンツ設計など、集客から売上につながる戦略設計・実行支援を行う。